職場でパート勤務の人に「もう1つの勤務先とあわせて10時間働いてるから」と、2時間分の“残業代”を請求されました。うちでは「4時間」しか働いていないので、払う必要はないですよね…?
近年副業や兼業が少しずつ一般化してきており、ダブルワークをしているアルバイト・パート従業員と関わることが増えている人も多いのではないでしょうか。ただし、ダブルワークをしている従業員の賃金の支払いには注意が必要です。というのも、割増賃金はほかの職場で働いた労働時間を含めて計算します。 ダブルワークをしている従業員に、「今日はほかのパート先と合わせて労働時間が8時間を超えたので、割増賃金を払ってください」と言われたら、さすがにその必要はないと考える人が多いのではないでしょうか。しかし、従業員の言うことのほうが正しいのです。 本記事では労働時間を通算する根拠と、どちらの会社に割増賃金の支払い義務があるのか解説します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
ダブルワークでは労働時間を通算して割増賃金を計算
労働基準法第38条では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」とされています。なお、「事業場を異にする」とは事業主が違う場合も含みます。 つまり、ダブルワークの場合、2つの職場の労働時間を通算した上で、割増賃金が発生するかを考える必要があるのです。したがって、会社は特に次の2つのパターンについて確認しなければなりません。 ■1日の労働時間が通算して8時間を超えた場合 労働基準法が定める1日の法定労働時間は8時間です。例えばA社で6時間、B社で3時間勤務したとき、労働時間は通算して9時間と計算します。1時間は時間外労働となり割増賃金が発生するのです。 したがって、ダブルワークを行っている従業員に対しては、他社で働いた時間を含めた労働時間の管理をしなければなりません。 ■1週間の労働時間が通算して40時間を超えた場合 労働基準法では1週間あたりの法定労働時間も定めており、40時間を超えた労働時間は割増賃金の対象です。例えばA社で月曜日から金曜日まで8時間ずつ、週に40時間働いている人が土曜日にB社で5時間働いたケースでは、5時間が割増賃金の対象となります。