「7月3日の新紙幣発行」で消費活動に一部支障も? 新紙幣関連の詐欺・トラブルにも要注意
千葉県市川市ではスマホを初めて購入する75歳以上の市民向けに、上限2万5000円、購入費用の2分の1を補助しています。スマホ本体の購入費のほか、充電器、事務手数料やデータ移行手数料なども対象になります。 ※上記いずれも、購入または申請期間は2025年3月末までです。予算に達し次第終了することがあります。 これらの補助制度は主にオンラインでの行政手続きを推進する目的として行われているもので、マイナンバーカードの読み取り機能などNFC認証機能がある機種のみが対象です。
ただ、NFC機能のあるスマホの多くはクレジットカードのタッチ決済や交通系ICとしても利用できます。決済アプリをインストールすれば、コード決済を利用することも可能です。日常の買い物でキャッシュレス決済に対応するうえでも、制度を活用できそうです。 キャッシュレス決済の利用にあたって注意したいのが、不正利用や詐欺被害などのトラブルです。カード番号を盗むなどによるクレジットカードの不正利用は年々増加しており、2023年の被害額は約540億円と、10年前の5倍近くにもなっています。
最近はコード決済を通した詐欺被害も増えているようです。 チラシやSNSの広告に掲載された商品を購入しようとコードを読み取ると、決済情報が盗まれて不正利用されてしまう。通販サイトで商品を購入したところ欠品のため商品が届かず、返金を求めると販売者とのやり取りの過程でスマホ決済の支払画面に誘導されて、意図しないまま相手に送金させられてしまう――などといった被害が多数報告されています。 新紙幣に直接関わるものに限りませんが、キャッシュレス決済が日常生活に浸透するにつれ、手口が多様かつ巧妙になっていく可能性には留意が必要です。
■不確かな情報で不安をあおる投稿も 新紙幣に関わるものとしては、「旧紙幣は使えなくなるから新しいものに交換します」などといって、電話口で指示をして旧紙幣をATMから振り込ませるような詐欺が発生する懸念も指摘されています。 SNSでは、新紙幣発行によって「タンス預金があぶり出される」「預金が封鎖される」「個人の資産が把握され課税される」など、真偽の不確かな情報を発信し不安をあおるような投稿も目立ちます。仮想通貨の購入や投資を募るものもあるようですので、こうした投稿を通してトラブルにつながる心配も否定できません。
なお、日銀では汚れたり破れたりして使えなくなった紙幣を新しいものに引き換える対応はしていますが、両替や単純な新紙幣への交換は受け付けていません。日銀のサイトには使えなくなった紙幣を引き換えるための受付ページがありますが、同サイトに見せかけたフィッシング詐欺などが発生することも考えられます。新紙幣が発行されても旧紙幣は今まで通り使えることを重ねて意識して、冷静に対処したいものです。
加藤 梨里 :FP、マネーステップオフィス代表取締役