『ウイングマン』『ドラゴンボール』『キン肉マン』…令和6年の今、なぜ80年代漫画のドラマ・アニメ化ラッシュなのか
細部にわたるこだわりと遊び心
それぞれのコンテンツを見ていて気付かされるのは、制作サイドによる徹底したファンサービス。『ドラゴンボールDAIMA』や『キン肉マン 完璧超人始祖編』では、懐かしいキャラクターが次々に登場したり、かつての名シーンを振り返るような演出があったりなど往年のファンを喜ばせるような仕掛けが随所に見られます。 そのこだわりや遊び心は細部にわたり、なかでも特徴的なのが音楽の仕掛け。たとえば『ウイングマン』は1984~1985年放送のアニメ主題歌「異次元ストーリー」のインスト版をさりげなく実写ドラマのBGMに使っていますし、『ドラゴンボールDAIMA』の主題歌「ジャカ☆ジャ~ン」の作詞は歴代アニメシリーズの「CHA-LA HEAD-CHA-LA」「WE GOTTA POWER」などを手がけた森雪之丞さんが担当しています。 『キン肉マン 完璧超人始祖編』も「第0話」のエンディングで1983年~1984年放送の第1期アニメ主題歌「キン肉マン Go Fight!」をキン肉マンの声優を務める宮野真守さんがカバーしました。このような往年のファンを喜ばせる工夫を惜しまないこともネット上で話題を集める理由となっています。 また、これらのこだわりや遊び心は往年のファンだけに向けたものではありません。若年層などの新規ファンも動画配信サービスや漫画サイトで過去作を見て楽しめるようになったことも1980年代漫画の再ブームを後押ししています。 1980年代の当時、これらの漫画を楽しんでいた主な世代は現在の40~50代あたり。今年の新シリーズはもちろん原作漫画、過去のアニメなど、子どもたちと会話のきっかけになるコンテンツが多く、コミュニケーションの増加に一役買っているのではないでしょうか。 『ウイングマン』『ドラゴンボール』『キン肉マン』『シティーハンター』、さらに『うる星やつら』も含め、その世界観は漫画らしいファンタジーであり、年齢を問わない間口の広さを感じさせられます。それでいて、仲間との絆を描く熱さや、理屈抜きで笑えるユーモアもふんだんにあるなどコンテンツとしてのパワーが強烈なだけに、まだまだこの流れは続くのではないでしょうか。 【木村隆志】 コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。