「いつも感じのいい人」が仕事相手の自宅に招かれたとき、座ろうとしない場所
コロナ禍を経て昨今は、お互いの家を訪ね合うという習慣は失われつつあります。稀な機会であるため、実際お宅を訪問する場合、どのような立ちふるまいが求められるのでしょうか?茶人で慶應義塾大学特任教授の千宗屋さんの『お茶の若宗匠が教える「人づきあい」と「ふるまい方」 いつも感じのいい人のたった6つの習慣』より紹介します。 【この記事の画像を見る】 ● 家を訪ね合う習慣失われつつあるが マナーを知らなくて恥ずかしい思いをすることも 2020年頃から始まったコロナ禍の影響もあり、昨今は家を訪ね合うという習慣は失われつつあるようです。ごく親しい間柄や親戚どうしの行き来ではなく、威儀を正したご挨拶やあらたまったお礼などで人と会う場合も、ホテルや飲食店を利用するケースが多くなっています。 そんな時代だからこそ、自宅に客を迎えることは、双方にとって特別な時間になるはずです。招かれた側はもちろん招く側もまた、互いに大きな喜びや発見、深い心の通い合いを経験することができるのです。 かつて、客を迎えるのは、家の中でのハレの場である表座敷でした。ふだんは使わない座敷をその時だけ開け放ち、家族にとってもハレの時間を過ごしたのです。 子どもたちはきちんとした装いに着替え、正座してご挨拶することを覚え、接客の手伝いを通して大人に対する接し方や話し方を身につけました。 客と食事を共にする食卓は、緊張感を持ちつつ正しい作法を見て学ぶ場ともなり、家庭内でのマナー教育が自然とできていったのです。 マナーを知らなくて恥ずかしい思いをすることも、相手を不愉快にさせてしまうこともあるでしょう。だからこそ、そつない行動力を身につけて、大事な機会に集った人びと全員が快適で楽しい時間となるよう礼を尽くしたいものです。
● 到着時間は、 こまめに連絡する 招かれた側として、まず気をつけたいのは、到着のタイミングです。あらかじめお伺いする時刻を約束しておくのはもちろんですが、当日は早めがいいのか、遅めがいいのか、時間ぴったりなのか、悩ましいところです。いずれにしろ、時間に余裕を持って出発するのは当然です。 個人宅の場合、訪問先では何かと準備に忙しいことを考慮し、約束の時間よりも早く到着してしまうのは控えたいもの。約束時間の2、3分後ぐらいに到着するよう見計らうとよいと言われていますが、現代はスマートフォンやメッセンジャーアプリといった便利な通信手段があるので、最寄り駅に到着した段階でまず知らせるなど、状況を連絡しておくことが、相手にとっても好都合ではないかと思います。 それを受けて、迎える側ではお茶や食事の支度を整え、最後の点検にとりかかることができます。 招待を受けてから訪問するまでに日数が空いた場合は、前日に「明日はお約束通りお伺いします」というメールを送っておくと、相手方は安心でしょう。 ● 茶席では、打ち水が迎える側の 準備ができた合図 ちなみに正式な茶会では、15~20分前に到着するといいとされています。亭主は準備が整ったら玄関先に打ち水をし、門扉を少し開けておきます。こうすることで「いつでもどうぞ」の合図とします。迎える側、訪れる側双方にとって、わかりやすい合理的なシステムと言えるかもしれません。 ● 失礼のないよう、 コートは玄関の前で脱ぐ 家の前に到着したら、コートは脱いで手に持ち、帽子や手袋は取り、傘なども畳んでからインターフォンを押します。反対に、汗ばむ陽気でジャケットなどを脱いで歩いてきた場合には、玄関前でいったん羽織るなど、訪問先の相手と対面する前に、失礼のないよう敬意を持って今一度身支度を整えたいものです。 そうすることで、玄関に招き入れられたあとにもスマートに行動できます。