75歳の医療費負担が3割になる!? 高齢社会対策大綱から見る家計運営の考え方。
9月13日、高齢社会対策大綱が閣議決定されました。具体的には、75歳以上の人(後期高齢者)が加入する「後期高齢者医療制度」において、窓口の負担が3割になる人(現役並み所得者)の適用範囲を広げることを検討すると明記されました。 実質的には、「今後、生活に余裕のある高齢者は応分の負担をする」という方向性が示されたわけですが、この内容を人生設計(ライフプラン)に落とし込む場合、私たちは家計についてどのように考えればよいのでしょうか。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
後期高齢者医療制度における、医療費の窓口負担割合
令和4年10月、現行の後期高齢者医療制度が施行されました。 それ以前は、現役並み所得者の窓口負担はかかった医療費の3割、それ以外の人は1割でしたが、現行の制度では、原則として現役並み所得者の負担割合は3割、一定以上の所得のある人の場合は2割、それ以外の一般的な所得の人たちなどが1割と、新たに「2割負担の階層」ができています。 図表1
出典:内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」 この制度改正に伴い、現行制度の下では2割負担の人に2025年9月30日まで、外来医療費の窓口負担軽減を目的に、配慮措置が設けられています。具体的には、「窓口で支払う金額の増加分を、1ヶ月当たり3000円までに抑える」という措置です。
一定の所得のある人のうち、一部が3割負担になる?
今回、閣議決定された「高齢社会対策大綱」では、医療費が3割負担となる人、つまり「現役並み所得が者」の対象範囲の拡大を検討することが打ち出されました。 現在、後期高齢者医療制度の所得区分は、図表2のようになっています。3割負担の人(現役並み所得者)の判定基準を見ると、「同じ世帯の被保険者の中に課税所得が145万円以上のかたがいる場合」となっています。 今後見直しが検討されるのはこの部分で、おそらく「同じ世帯の被保険者の課税所得が145万円」という基準を下回る水準が設定されることが考えられます。 分かりやすくいってしまうと「現行の2割負担の人のうち、一部の人が3割負担になる可能性が高い」ということです。 図表2