映画『若武者』を世界同時公開&配信開始…「New Counter Films」が切り拓く新しい邦画製作のカタチとは
なるべく楽しそうに結果を出したい
――最後に、今後の抱負をお聞かせください。 関: 2021年から日本映画製作者協会の理事もやっていますが、映画業界には、資金や労働環境など様々な問題が山積しています。でも、問題点を声高らかに言うのは好きではないです。「楽しいよ」と言っている方が人が集まるし、きっと事態も良くなる。まずは僕たちが結果を出して、それが良さそうだと思ったら、どんどん真似して欲しいです。 そして、このビジネススキームを各社で導入して、海外だけでヒットする映画制作の会社が生まれてもいいと思います。 記者会見を開いてからは、大手の映画会社の人たちから多くの問い合わせが入っています。大手だろうがインディペンデントだろうが問題点は同じなんです。 映画界に限ったことではないのですが、先人たちが楽しそうにしていたら、憧れの職業になって人材も増えて、新しい才能がどんどん生まれるのではないでしょうか。 ――鈴木さんはいかがでしょうか。 鈴木: 僕はまだ業界に提言できるほどの立場にはいないと思っているので、関わった人が本当に良かったと思える作品を、なるべくいい環境で作るためにベストを尽くすしかないです。やはり動員と映画祭のノミネートでしか、世間の評価も発言権も得られないという状況の中で、何とかやれることをやって、良い作品を少しずつ作っていくしかない。 今年はプロデューサーを務めた山中瑶子監督の『ナミビアの砂漠』が、第77回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞しました。女性監督としては史上最年少という快挙で、少しずつですが、自分たちが信じる作品を作り続けていくための結果は出ていると感じています。 「New Counter Films」は現状をより良くしようとする試みの一つです。ぜひ多くの方々にこの試みを知ってもらって、若い作り手やお客さんにとって、日本映画界がよりクリエイティブで魅力的なものに感じていただけるようになっていくといいと思っています。 ---------- 映画『若武者』Wakamusha 「New Counter Films」設立第一弾作品 5/25(土)より全国ミニシアターで、世界同時期公開中! 監督・脚本:⼆ノ宮隆太郎 主演:坂東龍汰、髙橋里恩、清水尚弥ほか 【ストーリー】 工場勤務の寡黙な渉(坂東龍汰)、血の気の多い飲食店員・英治(高橋里恩)、介護士として働く光則(清水尚弥)の3人は、数年前に事故で亡くなった幼馴染が眠る墓地に向かう。革命起こそうと言い出し、彼らは“世直し”と称して些細な違反や差別に対して無軌道に牙を剥いていくが、やがてその“世直し”は暴力へと変わり……。 ----------
熊野 雅恵(ライター、行政書士)