映画『若武者』を世界同時公開&配信開始…「New Counter Films」が切り拓く新しい邦画製作のカタチとは
話題の映画、二ノ宮隆太郎監督『若武者』が渋谷ユーロスペース他全国のミニシアターに加え、ニューヨークの劇場で公開された。海外では今月中にロンドン4館、来月は北米1館で上映が確定しており、その数は拡大の予定だ。 【写真】再燃する“ホラー”ブーム…「日常」「理不尽」を描いた「Jホラー」の影響 本作はU-NEXTとの共同出資での製作・配信という全く新しいスタイルを取っているが、この挑戦を始めたのは合同会社「New Counter Films」共同代表社員の関友彦さんと鈴木徳至さん。なぜ今、配信事業者と組み、国内外での劇場公開と配信開始を同時に行うのか。その真意についてお二人に訊いたーー。
作り手自らが劇場に届ける意義
――New Counter Filmsを作ろうとしたきっかけについてお聞かせください。 関: 僕が代表を務める株式会社コギトワークスは、映画制作のプロとして、大きな予算の映画からインディペント色の強いもの、そして、海外との合作映画など様々な種類の映画を制作プロダクションとして請け負ってきました。ただ、自分たちで映画を企画・製作して上映することはしていませんでした。 昨年まで俳優部があったのですが、俳優のマネジメントをする中で、自然とミニシアターに訪れる機会も多くなり、作るだけでなく、映画を届けるまでが自分たちの仕事だと気付かされました。そんな時に、現在公開されている『若武者』の監督、二ノ宮隆太郎が撮った『枝葉のこと』(2017)のプロデューサーをしている鈴木を知りました。 鈴木はインディーズ映画の世界で、企画・製作をして、お客さんに届けるまでを全て自分たちでやっていた。それを見ていて、やはり僕たちもそれをきちんとやるべきなのではないか、と思うようになりました。それで2020年に配給業をスタートさせて、企画・製作からお客様に届けるところまでを自社でやり始めました。 その中で、才能ある監督と作家性の高い作品を作ることができても、なかなか海外の劇場公開までは広がっていかないということもわかった。ならば、作家性の高い映画をまとめて世界に送り出せる新しいレーベルを作ろうということで、U-NEXTさんに企画提案し、「New Counter Films」を立ち上げたのです。『若武者』はその第一弾の作品です。