映画『若武者』を世界同時公開&配信開始…「New Counter Films」が切り拓く新しい邦画製作のカタチとは
続けてきたことをビジネスにできるチャンス
――鈴木さんは関さんにスカウトされて5年前にコギトワークスに入社しています。 鈴木: コギトワークスは君がやっていることを今からやっていくつもりなので入社して欲しい、と言われました。 僕が最初に映画をプロデュースしたのは2012年で、経済産業省の助成金を企画コンペで獲得し、10分の短編映画を制作しました。その後インディーズ映画の世界でプロデューサー業をフリーランスとして続けていましたが、そんなことをしている人間は自分以外にはほとんどいませんでした。 フリーランスなので自ら出資をするわけでもない。仕事としても金銭的に割に合わないことがほとんどですし、映画業界の中でもかなり特異な立ち位置にいたと思います。 それでも才能ある監督との出会いに恵まれて、映画祭出品などの結果を続けて出すことができました。それで、商業映画や広告映像などの制作業務をしながら、プロデューサーとしてインディーズ映画の企画から配給までの業務を監督と二人三脚で行う活動も、並行して続けることができたんです。 この10~20年、カンヌ・ベルリン・ベネチアの世界三大映画祭にノミネートされ国際的に才能を評価されているのは、ほとんどがインディーズ映画出身の監督たちです。自分はそういった作家たちと先鋭的な作品を創ることをモチベーションにこの世界に足を踏み入れたので、とにかく世界に通用する新しい映画を作ろうという気持ちで活動を続けていました。 ただ、いざそれを仕事として、ビジネスとして成立させようとすると、金銭的なハードルが高く辞めていってしまう人もたくさんいた。世界的に評価される賞を獲得した監督が映画を撮り続けることができないという状況も数多く見てきました。 そんな時に、関からオファーがあり、自分がやってきたことを「ビジネスとして一緒にやらないか」と言われたのです。自分の特殊なキャリアを評価してもらえたのは初めてのことでしたし、その時点で抱えていた企画や自分に来る仕事もそのまま続けていいということでしたので、「ありがたい」と思い入社しました。