JBCに勝訴!賠償金4550万円を勝ち取り亀田興毅氏は安堵、涙、そして静かに吠えた「関わったJBC理事の全員辞職がボクシング界の改革に重要」
今回、違法処分と断定された”国内追放”の発端になったのが、2013年12月にIBF世界スーパーフライ級王者、亀田大毅とWBA同級王者、リボリオ・ソリスの間で行われた2団体統一戦だ。ソリスが計量オーバー。ルールミーティング後、IBFのスーパーバイザーであるリンゼイ・タッカー氏が「亀田が負けたらIBFは空位になる」と発言。報道各社は、それを受けて「負けたら空位」と報道した。試合は1-2判定で亀田が敗戦。試合後、リング上では日本語の「IBF及びWBA王座は空位になった」とアナウンスされ、TBSの番組内でもテロップで流れた。 だが、タッカー氏が緊急会見を開き「負けても王座保持」と前言を撤回したため、大混乱に陥り亀田ジムとJBCに対して批判が巻き起こった。JBCは、これを問題視し、「JBCに報告もなく、亀田ジムが設定した会見で前言を撤回したため、ファンやマスコミをはじめ多くの人々からボクシングの公平性が疑われ、JBCの信用を傷つけられた」と、2か月後に、ライセンスを更新しないという処分を発表、亀田3兄弟は活動停止に追い込まれた。 だが、亀田サイドは、ルールミーティングでは「負けても保持」と確認されており、JBC事務局長はサインまでしていたが、実際には、英語に不案内なJBC事務局長は、それを理解しておらず、同席した会見でタッカー氏が「負けたら空位」と間違った発言をした際にも訂正することもしなかったため問題が大きくなったと主張。そのJBCの不備が判決で認定されることになった。 この日、会見に出席した北村弁護士は、なぜJBCが不当処分を下したかと思うか?という質問を受けて、「自らの面子を保持するため、すべて亀田サイドが悪いと決めつけて処分をつけて発表した。自分たちの面子を守るために亀田ジムを犠牲にした、としか思えないような処分」と見解を述べた。
一方、敗訴側のJBCは被告である責任者も弁護士もメディア対応を行わず秋山理事長の名で以下のコメントを紙キレ一枚で発表した。 「今般の亀田プロモーションならびに亀田 3 兄弟との間における損害賠償請求訴訟にお いて、JBC の主張が認められなかったことは、残念に思っております。判決文が届いてお りませんので、詳しいコメントは控えさせていただきますが、判決内容を精査し、当法人としても論点整理含め、代理人と協議したうえで、今後の対応について考えたいと思っております。 なお、試合管理等 JBC の運営に関しては、滞りなく万全を期しておりますのでよろしくお願いいたします」 控訴を行うかどうかについて明らかにしなかったが、遅延損害金も含めて約5500万円に膨れ上がる賠償金の支払い能力が、現在のJBCにはないという厳しい現実がある。 JBCの2018年末の正味財産は620万円。2010年の段階では2億円近くあった正味財産は、元JBC職員らの不当解雇、不当降格の裁判に連敗を続けたため、またたくまに減り、さらに健保金問題、赤字の財務体質がそれに拍車をかけ、息絶え絶えの状況で、そこに約5500万円の賠償金を補う資金調達ができなければ債務超過により破綻することになるのだ。そうなると、ボクシングの統括、運営組織がなくなり、選手の健康管理、計量、審判、ジャッジの派遣などがストップ、プロのボクシング興行自体ができなくなる。日本からボクシングが消えてしまうのである。 控訴をするにも、ここまで明確に違法を認定されると、論点を変えるのは難しい。さらに仮執行宣言がついているため、亀田サイドに強制執行の権利があり、その停止の申し立てには担保金が必要でJBCに大きな負担がのしかかることになる。