「失語症の父と話したい」16歳娘の想いと挑戦…自作した“会話の支援機器”に懸けた願いとは
■雑談のきっかけを作る『チット』
咲歩さんは、失語症の家族は必要最低限な会話になりがちで、主に自宅で過ごすような維持期の人が約9割、日常生活への支援機器がないという現実を知り、雑談のきっかけを作る『チット』を開発した。 咲歩さんは「父に何か問いかけをすると反応はしてくれるけど短文だ。例えば、今日はごはんが食べたい・食べたくないというクローズド・クエスチョンの答えやすい会話形態で質問を行うが、父が食べたいと言ったら会話が2文で終わってしまうのが問題だと思った。2文で終わる会話から私が何か一方的に聞き続けるではなく、父から何か聞いてほしい、父ともっと会話を広げていきたいからチットを作った」と説明。 どうやって、内容を決めたのか。「会話のデータをとっていったら、2択のはい・いいえで答えられるような会話形態を用いて会話をしていることが非常に多かった。オープン・クエスチョンで、どうだった?いつ?と投げかけることでさらに今後の会話の発展性、雑談へ持っていくことができるのではないかという仮説を立てて、開発、発明に取り組んだ」と答えた。 咲歩さんは、今後の展望について「既存ツールでたくさんコミュニケーションに使えそうな道具はあるが、それが父にフィットしなかった。その理由は、障害が十人十色で、それぞれ何ができないのかが違った。できないところに向き合うためには、一人ひとりに合わせてカスタマイズしたり、何を求めて必要としているのかを、今できる人が汲み取っていく必要があると思っている。一人ひとりに対してどういうアプローチが必要なのか考えながら、チットだけではなく、いろいろなものづくりでたくさんの方に笑顔を届けていきたい」と語った。 (『ABEMA Prime』より)