「本当なら、もっと儲かったはずなのに。」気づけない人だけが損をする〈機会費用〉という視点
「営業部長はバス、平社員はタクシー」のほうがいいケース
客を訪問する場合、営業部長はタクシーで、平社員はバスで行く、という会社は多いでしょう。営業部長は偉いのだからタクシーに乗るのは当然だ、ということなのでしょうが、純粋に利益を追求するという観点で考えてみましょう。 営業部長は時給が高いから、バスで移動している時間を惜しんで働いてもらった方が会社のためだ、という考え方はあるかもしれません。しかし、それが正しいか否かは営業部長の時給が高い理由によります。 仕事ができない人が年功序列で部長になり、優秀な新入社員が平社員、という場合もあるでしょう。営業部長は宴会で客の心を掴むのが得意だが昼間の仕事は不得意だ、という場合もあるでしょう。そういうときは、平社員がタクシーで移動し、部長がバスで移動するほうが会社の利益になるのです。 平社員がバスに乗って時間をかけて移動している間に、もし彼(彼女)がタクシーを使って短時間で移動し、多くの客先を訪問することができたら、多額の利益につながっていたかもしれません。そう考えると、平社員がバスで移動することの機会費用は大きいわけです。機会費用を考えるとタクシー代のほうが安いかもしれないわけですね。 一方、営業部長がタクシーを使って移動時間を節約したところで、どうせ注文が取れないのなら、タクシー代がもったいないですね。バスで移動することの機会費用が小さいわけですから、タクシー代を払わずにバスで移動してもらいましょう。 まあ実際には、筆者が考えるほど社内政治というものは簡単なものではないのでしょうが(笑)。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義