浜辺美波×赤楚衛二 大御所俳優たちの中での成長「結束力が高まりました」
酸欠になりながらも真摯に役と向き合っていた豪華俳優陣
──徳川家康を演じる野村萬斎さんとのシーンも多かったおふたりですが、萬斎さんのお芝居から感じたことは? 赤楚 肌でも感覚が伝わる言葉の響きが……人間じゃなくて神に近い存在なんじゃないかと思ってしまうほど、萬斎さんのお芝居の説得力が本当にすごかったです。勉強して真似できるかって言ったらそういうものでもないと思うので、自分の身に置き換えることはできませんが、「こんなに素晴らしい方がいらっしゃるんだ」と気づかせていただいた、社会科見学のような感覚でした。 浜辺 いろんな方が徳川家康という人物を演じているなかで、萬斎さんにしかできない説得力のある家康さんでしたし、どこか温かみもある、見ているだけで少し泣けてくるような瞬間もありました。目の奥がどこまでも遠く広がっていて歴史を感じる晩年に近い家康像がそこにあったので、『もしも徳川家康が総理大臣になったら』という“もしもの世界”に一番最初に連れて行ってくださる存在だったかなと思います。 ──家康が国民に語りかけるシーンもすごかったですね。 浜辺 エキストラさんの人数すごかったですよね。 赤楚 1000人超えてた? あれ、俺盛ってる?(笑) 浜辺 3日間で延べ1500人だそうです(笑)。あの台詞、本当に長いんですよね。15分くら喋ってるかな? 赤楚 喋ってるね。カットもすごい割るから。 浜辺 それぞれの偉人さんがセリフを聞いているカットもあるので、その分また1から萬斎さんがセリフを言われるんです。武内監督が「ちょっとテンポが速いので、聞きやすいように」とディレクションされていて、そうすると酸欠になると思うんです。 赤楚 声も張らないといけないですし、実際にみなさん息がしんどそうでしたよね。本当にハードな撮影だっただろうなと思いますが、「伝えよう」という思いがビシバシ伝わるからこそ、ああいった映像になったんだと思います。 浜辺 空気が震えている感じがしました。 赤楚 したよね~、ビリビリと。 浜辺 私は記者役で話を聞いている側でしたが、後ろにいらしたエキストラさんたちの熱や盛り上がりがすごく感じられたんです。ストーリーの全貌をほぼ知らないで参加してくださっているエキストラさんたちが、萬斎さんや竹中さんの熱量に驚かれて、すごく真剣に向き合ってくださっているのが伝わってきて、本当に感動しました。 ──改めて、『もしも徳川家康が総理大臣になったら』に出演して得たものとは何だったでしょうか? 赤楚 時代劇に対する向き合い方を学ばせていただいたと思いますし、「時代劇ってこういうものなんだ」と知ることができた一番最初のきっかけになったので、今後にも活かしていければと思いました。 浜辺 私は昨年が自分のなかでもいっぱいいっぱいだったと言いますか……キャパシティ的にギリギリのところをさまよっていて。そのなかでも、もし徳は考えることや悩むことが多かった作品でもあったので、「もっと脳みそを使う環境に行かないといけないな」とさらにたくさんの課題が見つかったような撮影期間でした。 もうひとつ、豪華俳優陣のみなさまがお忙しいのに酸欠になりながらもずっと穏やかに、現場で誰よりも真摯に作品や役に向き合っていらっしゃったので、その姿勢を見せていただいて心が引き締まりましたし、「自分もそうなっていきたいな」という思いが強くなる現場でした。