またも富士で大暴れ、坪井翔が7番手から圧巻の今季2勝目。小林可夢偉5年ぶり表彰台【第6戦決勝】
10月12日、2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の決勝レース(41周)が静岡県の富士スピードウェイで行われ、予選7番手からスタートした坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が逆転でシーズン2勝目を挙げた。2位には岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、3位には小林可夢偉(Kids com Team KCMG)が入り、小林は5年ぶりの表彰台獲得となった。 【写真】2024スーパーフォーミュラ第6戦富士 表彰式 季節が秋に進み、14時50分の決勝レーススタート時には日差しはやや傾きかけていた。気温23度、路面温度は32度を記録しているが、ここから路面温度がどのように変化していくかが重要となる。 定刻にフォーメーションラップが始まり、いよいよ41周の決勝レースがスタート。抜群のスタートダッシュを決めたのは2列目に並んだTEAM MUGENの2台。なかでも岩佐は、イン側グリッドから一気に3台を抜き去ってTGR(1)コーナーでトップに躍り出た。 この2台に続くように6番グリッドの佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)が3番手にポジションアップ。さらに坪井が4番手に上がり、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)は5番手、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は6番手でオープニングラップを終える。 岩佐と野尻智紀(TEAM MUGEN)のトップ争いは2周目に入っても白熱し、1コーナーから続くバトルはコカ・コーラコーナーでイン側をキープしていた岩佐が止まり切れずにオーバーシュート。野尻が代わってトップに立った。 コースオフが響いた岩佐は、佐藤をとらえて3番手に上がっていた坪井の接近も許してしまい、3周目にはこの2台も順位が入れ替わることとなった。3周を終えてトップに野尻、2番手に坪井、3番手に岩佐、4番手に佐藤というオーダーとなり、ここからは上位陣は順位変動なく膠着状態が続く。 10周を終えて、真っ先にピットへ向かったのは3番手に後退していた岩佐。同じく太田、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)、三宅淳詞(ThreeBond Racing)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)の4台もミニマム周回でのタイヤ交換を選択した。 その間にトップ争いが接近。坪井は1コーナーで野尻に近づき、サイド・バイ・サイドでコカ・コーラコーナーへ飛び込んでいったが、止まり切れずにコースオフし、ここでも野尻がトップを守り切った。その後も野尻と坪井は1秒を切る差のなかで攻め合いが続いたが、はるか後方ではフレッシュタイヤに履き替えた岩佐がタイヤ交換分のマージンをじわじわと削っていく。 12周終了の時点では39秒だった野尻と岩佐の差は、16周目には36秒、20周目には34秒まで縮まった。21周を終えるところでトップの野尻がピットイン。タイヤ交換はスムーズに終えたものの、事実上のトップを守り切ることはできず岩佐と太田の後ろでコース復帰となった。さらに、まだタイヤが冷えているアウトラップで野尻は背後から小林にも迫られる展開となる。 11番グリッドからのスタートだった小林は、11周終了時点でタイヤ交換を済ませており、序盤のピットインで大きく順位を上げることに成功していた。野尻はヘアピンコーナーで小林にとらえられいったんはポジションダウンしたものの、翌周にはタイヤに熱も入り、ホームストレートでオーバーテイク・システム(OTS)を使いふたたび小林の前にポジションを戻した。 23周を終えて、見た目上のトップを走行していた坪井がピットイン。岩佐と太田の後ろ、実質3番手でコースに戻る。背後からは野尻が迫り、再び2台の争いはヒートアップしていく。100Rからアドバンコーナー(ヘアピン)にかけ、野尻は一気に坪井に追いつくが、ヘアピンのブレーキングでタイヤをロックさせたか、わずかに挙動を乱してしまう。この隙に坪井は逃げ、野尻はふたたび小林に追いつかれてしまった。GRスープラコーナーで野尻の横に並びかけた小林は、そのまま最終コーナーまで食らいつくとホームストレートで一気にオーバーテイク。これで小林が4番手に浮上した。 最後までタイヤ交換を引き延ばしていた国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が27周を終えてピットイン。これで名実ともに岩佐がトップに戻ってくることになった。トップ6のオーダーは岩佐、坪井、太田、小林、野尻、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)というラインアップ。 28周目には岩佐と坪井は2.5秒というギャップだったが、比較的タイヤが新しい坪井はペースアップし、岩佐とのギャップを一気に削ってきた。29周目には1.7秒、30周目には0.9秒まで迫ると、31周目にはホームストレートで横に並び、岩佐に襲い掛かってくる。1コーナーでイン側をキープした岩佐はブレーキをこらえてトップを死守。しかしそのままサイドバイサイドのバトルが続くと、100Rで坪井が一気に岩佐を抜き去り、トップに浮上した。 第4戦の再現のような逆転劇で終盤にトップを奪った坪井は、岩佐との差を築いてトップチェッカーを受けて、今シーズン2勝目を挙げた。抜群のスタートから終盤までレースをリードしていた岩佐は、悔しい2位となった。 3位に入ったのは小林。小林にとっては2019年第5戦もてぎ大会以来、実に5年ぶりの表彰台となった。以下、牧野、福住、野尻というトップ6。野尻は最終ラップで福住にかわされポジションダウンしたが、6位フィニッシュで5ポイントを追加。予選3番手で1ポイントを稼いでいたことで合計64ポイントとなっている。2勝目を挙げた坪井は63.5ポイントまで接近。牧野が61ポイントで3位につけている。 [オートスポーツweb 2024年10月12日]