フェネストラズ、日産の母国レースで追い上げ10位入賞も複雑。痛恨の“壁ヒット”を悔やむ「フォーミュラEでは予選でミスすると週末全体が終わりになってしまう」
日本における初の本格公道レースとなったフォーミュラE東京E-Prix。レースではポールポジションからスタートした日産のオリバー・ローランドが最終ラップまで優勝争いを繰り広げて日本のファンを大いに盛り上げたが、チームメイトのサッシャ・フェネストラズも予選から10ポジションアップの10位に入り、1ポイントをチームに持ち帰った。 【リザルト】フォーミュラE東京E-Prix:決勝結果 (追記:他車に出されていたタイムペナルティが撤回されたため、正式結果でフェネストラズは11位となった) 2022年まで日本で4年間レースをしていたこともあり、日本のファンも多いフェネストラズ。決勝で追い上げを見せて入賞圏内までたどり着いたが、レースを終えたフェネストラズは悔しさを隠しきれない様子であった。 「まずチームという点で言えば、とてもポジティブだった。でも僕の側からすれば、予選が受け入れられないようなものになってしまった」 レースウィークの振り返りについて、開口一番そう語ったフェネストラズ。彼にとっては、ミスがあった予選も含め、うまく噛み合わない週末となってしまった。 フェネストラズは雨上がりのFP1で他車に接触されるというアクシデントに見舞われ十分な周回をこなすことができず、決勝日朝のFP2もトラフィックなどがありFP1での遅れを取り戻すには至らなかったという。そんな中で迎えた予選では、ターン2~ターン3にかけてのジャンピングスポットでマシンが大きく跳ねてしまい、ウォールに軽くヒット。そこでタイヤの向きが若干変わってしまったようで、タイムは伸びず20番手に沈んだ。 「予選を迎えるまでに、ターン1のグリップがかなり変わった。FP1ではターン1はまだ濡れていたのに、予選では完全ドライだったんだ」 「だから(予選は)ターン2でもう少しプッシュをしようと思ったんだけど、ジャンプしてウォールに近付いてしまった。少しぶつかったくらいだけど、それでも左リヤタイヤは曲がってしまった」 またフェネストラズは、大きな段差があるターン2~3は来季に向けて改修すべきだと考えている。 「多くのドライバーがあそこのジャンプに文句を言っていて、マシンやドライバーの身体を考えてもベストではない。背中にはかなりキツかったし、マシンへの攻撃性も高い」とのことだ。 フォーミュラEは市街地コースをメインに開催されるという特性上、アタックモードなどのギミックが存在するとはいえ、オーバーテイクは容易ではない。フェネストラズはそんなフォーミュラEで予選を失敗してしまうと、週末全体を台無しにしてしまうようなものだと語った。 「当然僕たちは限界までプッシュしているし、常にラップタイムを伸ばそうとしている。だから予選でのミスは起こり得るものだけど、フォーミュラEではそれでレースウィークエンド全体が終わりになってしまう」 「FP1では何周か走ることができず、FP2でも少しトラフィックがあった。その中で臨む予選は難しくて、1周で色んなことを変えないといけないし、そうなると色んなことが起きてしまう可能性があるんだ」 「僕としては予選はミスがあったけど、レースは20番手からスタートして10位になれたから、かなり抜きづらいコースであることを考えても悪くない。全体的にレースの面はポジティブだ。今年は予選のパフォーマンスに取り組まないといけない」 東京E-Prixが「本当に悔しい」レースだったと振り返るフェネストラズ。経験値がものを言うフォーミュラEで、今後に向けてしっかりと経験を積んでいきたいと語った。 「今回の自分のレース、そしてオリバーが表彰台に乗ったことは良かった。でもオリバーにはこの選手権での経験があるという部分もある。僕にはそれが足りていないから、まず彼と同じことができるようにするのが現実的なところ。ただ今は経験豊富な人の真似をするのではなく、進歩を続けることが必要だと思う」 「だから経験を積んで、昨年の予選パフォーマンスと今年のレースパフォーマンスを組み合わせれば、良いパッケージになると思う」
戎井健一郎