高校野球の新基準に逆行 草野球界は“飛ぶバット”流行で「飛距離を買う」時代に 店や選手の反応は
きょう7日からいよいよ開幕する夏の甲子園、第106回全国高校野球選手権大会。今回から暑さ対策としての二部制が新たに実施されますが、今年から高校野球ではもう1つの大きな変更も。球児が野球を安全にプレーできるよう、金属バットには反発性能を抑えた新たな基準が設けられています。 【写真】草野球界を席巻中! 飛距離の伸びるバット その一方で、草野球界をいま席巻しているのは、なんと「自分史上最長の飛距離」が出るというバット。育成年代と対極のブームが広がるいま、“大人のロマン”を求めた「飛ぶバット」の現状について、神戸のスポーツ店や草野球チームに話を聞きました。 高校野球では、▼打球による負傷事故防止(特に投手)▼投手の負担軽減によるけがの防止という観点から、反発性能が抑えられたバットの使用が今年から義務付けられました。その最初の大会となったセンバツ(第96回選抜高等学校野球大会)では、柵越えのホームランがわずか2本に。そこから時間がたち、球児がどんな対策をして夏の甲子園に臨むか、注目は高まります。 しかし、草野球を楽しむ大人たちは、いまや「飛距離はお金で買う時代」に。その象徴となっているバットの1つが、ミズノから2020年に発売された「ビヨンドマックスレガシー」です。驚くのはその価格。一番高いもので、なんと5万7200円(税込み)。 「『ビヨンドマックスレガシー』は店の中で一番高いバットです。ただ購入する人は多く、年齢は様々ですが、大人中心に自分用として購入していきます。発売された頃は売り切れになることもありました」と話すのは、同バットを販売する神戸市灘区のスポーツ店「プラザスポーツ」の担当者。 こちらのお店では一般用のバットは約1万円、上級モデルでも1万5000円~2万円で購入できるそうですが、高級バット「ビヨンドマックスレガシー」が多くの人に選ばれているとのこと。しかも、購入者はほとんど迷う素振りを見せずに手にしているようで、買うときにはすでに覚悟を決めて入店しているのかもしれませんね。 ミズノによると、軟式野球用金属バット「ビヨンドマックス」シリーズは、技術が上がるほど投手戦になりがちな状況を打破するため、財団法人全日本軟式野球連盟からの要望もあり「飛距離の伸びる軟式バット」として2002年に開発されたもの。「ビヨンドマックスレガシー」は、その現行モデルにあたります。 ボールをとらえる部分に使用している独自のウレタン素材が飛距離を生み出す理由とのこと(※高校野球では使用不可)。ミズノのテスト結果では、従来の金属バットと比べると1.3倍、打球が飛ぶといいます。距離にすると、従来の金属バットで80メートルのところが、「ビヨンドマックスレガシー」だと106メートル飛ぶ計算に。甲子園でも両翼のスタンドに放物線を描くことができる飛距離です。 では、実際に使っている選手の声はどんなものでしょうか。神戸市を拠点に活動する草野球チーム「Beginners」に聞くと、「詰まったと感じても、思ったより打球が伸びヒットの本数が増えました」と、他のバットとの違いは感じている様子。他のチームでも使っている選手は多いようで、「ビヨンドマックスレガシー」を使用する選手が打席に入れば、守備位置を後ろに下がらせる「レガシーシフト」まであるとのこと。 草野球界をにぎわす高級バット。今後各社が性能を競って製品を出していくと、さらに値上がりしていくことも考えられます。果たして、大人たちはロマンのためならいくらまでなら出すのでしょうか……。 ※ラジオ関西『Clip』2024年8月7日放送回「トコトン兵庫!」より
ラジオ関西