意外と知らない【自律神経失調症】うつ病との違いは？なりやすい人の特徴は？精神科医が解説

知っているようで意外と知らない自律神経失調症について、精神科医がわかりやすく解説します。 【図】自律神経失調症になりやすい人とは？ ■自律神経失調症とは？ 自律神経失調症とは、ストレスが原因で、交感神経と副交感神経のバランスが崩れたことで、血圧や呼吸、消化や筋緊張などの身体機能が状況に応じた調整ができなくなり、様々な身体的症状が出てしまう状態の総称です。 自律神経失調症と一口に言っても、症状は、多岐に渡り、患者さん一人一人違いますが、代表的な症状として、以下の症状があります。 1.めまいやふらつき 2.頻脈 3.便秘、下痢などの消化器症状 4.発汗過多 5.不安や軽い抑うつ症状 ■うつ病とは、どう違うの？ 同じくストレスが原因で起こる疾患にうつ病がありますが、うつ病は、自律神経失調症よりも気分の落ち込みや意欲の低下などメンタル的症状が強く出る場合が多いです。 だたし、うつ病の中には、仮面うつ病と言われる身体的症状が目立つものもあり、自律神経失調症と識別しにくい場合もあります。 また、自律神経失調症からうつ病になるケースもありますし、自律神経失調症とうつ病が混在しているケースもあり、診断が難しい場合もあります。 ■自律神経失調症になりやすい人とは？ 自律神経失調症は個人差がありますが、特定の特徴や要因がリスクを増加させる可能性があります。 自律神経失調症になりやすい人って、どんな人なのでしょうか？ ■■1）常にストレスを感じている人 ストレスを感じると感じると交感神経の働きが活発になります。 そして、長期間慢性的なストレスにさらされると、睡眠時など本来なら副交感神経の働きが強くなる時でも、交感神経の働きが活発になったままという自律神経のバランスが崩れた状態になり、自律神経失調症を発症するリスクが高まります。 ■■2）家族に自律神経失調症と診断された方がいる人 自律神経失調症は、遺伝する病気ではありませんが、ご家族に自律神経失調症と診断されたことがある方がおられる場合、自律神経が乱れやすい体質を受け継いでいる可能性があり、ストレスが加わった際に、自律神経失調症の発症リスクが高まると言われています。 ■■3）女性 女性は、月経、妊娠出産、閉経などホルモンの変動が一生を通じて起こります。 ホルモン分泌を管理しているのは、脳の視床下部と呼ばれる部位で、視床下部には自律神経の調整を行う中枢でもあり、ホルモン分泌の変動が起こることで、自律神経の調整に狂いが生じます。 このため、女性の方が男性よりも自律神経のバランスが崩れる機会が多く、自律神経失調症になりやすい傾向があります。 ■■4）乱れた生活習慣をしている人 不規則な食事、睡眠不足、運動不足などは、自律神経失調症のリスクを増加させることがあります。 自律神経失調症になりやすい人の特徴について具体的に挙げましたが、自律神経失調症のリスク要因は個人によって異なり、必ずしも、こうした特徴のある方が自律神経失調症になるということではありません。 ですが、これらのリスク要因を認識して、健康な生活習慣を維持するよう心掛け、定期的ななストレス発散を行っていくことは、自律神経のバランスの崩れを防ぎ、しいては、自律神経失調症の発症を防ぐことに繋がります。 ■まとめ 自律神経失調症は、様々な体の症状が出るため、症状がストレスとなり、さらに自律神経の乱れを悪化させてしまう悪循環が引き起こされやすい病態の1つで、一度発症すると、治療しても、なかなか治りにくいことも多いです 自律神経失調症にならないために、日頃からストレスマネジメントをしっかり行い、ストレスが加わり自律神経のバランスが崩れても一時的な崩れで済むよう心がけるようにしましょう！ また、体の様々な不調を感じる場合は、自律神経失調症の可能性もありますので、早めに専門家に相談するようにしましょう！ 文／豊田早苗 鳥取大学医学部医学科卒業後、総合診療医としての研修及び実地勤務を経て、2006年に「とよだクリニック」を開業。2014年には「とよだクリニック認知症予防・リハビリセンター」を開設。「病気を診るのではなく、人を診る」を診療理念に、インフォームド・コンセントのスペシャリストと言われる総合診療医として勤務した経験を活かした問診技術で、患者さん1人1人の特性、症状を把握し、大学病院教授から絶妙と評される薬の選択、投与量の調節で、マニュアル通りではないオーダーメイド医療を行う。精神療法、とくに認知行動療法を得意とし、薬を使わない治療も行っている。