森口博子はリストラ宣告をも乗り越え、なぜ約40年も活躍し続けられるのか
森口博子が紡ぎ出す言葉の源泉
「好きなんです、言葉が」 来年でデビュー40周年、テレビにコンサートにと八面六臂の活躍をし続けるなかで、大事にしてきたのは、言葉だ。ここまでの受け答えにも、きちんと整理された「森口博子の言葉」がある。作詞も行う森口さんは、中学時代からちょっとした日記を書き続けているのだという。 「昔ほどではないですが、周囲の人たちとの会話や、感じたこと、誰かが放った素敵な言葉など、何かあれば今も記しています」 実際、長い芸能生活のなかで、多くの先輩方や後輩たちと触れ合ってきた。「読書は苦手」と語る森口さんが、学びの師としてきたのは、関わってきたすべての人の言葉なのだ。 「雑談が好きなんです。雑談のなかにこそ宝がある」 故郷・福岡の高宮中学校先輩であるタモリさんから受けたアドバイスの“昔できていた事が正解とは限らない”は、森口さんの心にも深く刻まれている。 「以前できていた事が年齢を重ねてサッとできなくなり、落ちこんでいる時に、タモリさんにそう言っていただき楽になりました」 また、尊敬する女性アニソン歌手の大立者・堀江美都子さんからの、辛いときに励まされた言葉にも支えられているようだ。 「“体調がすぐれず声が出なかったとき、そんな日は何も考えずに自分のために歌ってあげて”って言われたときは涙が出ちゃいました。体が資本ですし、心も資本。自分を大事にする重要性にも気付かさせていただきました。これは、辛いときの支えになっています」 メンタルケアの面だけでなく、雑談はアイデアの宝庫でもあるという。 「水着グラビアの企画もスタッフとの雑談から生まれました。『〇〇〇な事しちゃったりして、あはは』みたいな感じで話していて、あっ!それホントにイイかも!って、実現しちゃうんです。何気ないところに宝があるんですよ」 日常、何気ない雑談をするなかで、新しい何かを見つけ、自分の糧としている。
夢に向かう方法はひとつじゃない
1985年のレコードデビューを機に高校2年で上京し、芸能コースのあった堀越学園高校に転校。同級生には、荻野目洋子や武田久美子、井森美幸などが在籍。彼女たちの活躍も尻目にしながら、デビュー後も活躍しきれない自らの状況に歯痒い思いをして過ごすことも。 何度も挫折しそうになるなかで、夢に向かって邁進し続けた結果が今の姿なのだろう。度重なったオーディションの落選や、高校卒業直前の「リストラ宣告」から、バラエティ番組で活躍するタレントとして花開き、ふたたび歌手としての我が道を歩んでいる。 振り返ると非常に起伏に富んでいるが、決して順風満帆ではなかっただろう。彼女が、夢に向かう原動力は、どこにあるのだろうか。 「私の場合は、何かを乗り越えるというよりも、歌手になりたいんだから、なれるまで続けるしかない。なりたい”ではなく“なる”、そんな想いが一番強かったんです。なりたいものに最初からなれるわけじゃない。 とにかく行動するというのがポイント。自分が自分を信じないと一歩も踏み出せないと思うんです。結果、諦めなかったことで、歌手としての道を広げてくださった方もいます。バラエティへの道は、迂回策でしたが、結果的にはよかったと思います。この子に何かあると信じてくださった方のためにも頑張ってこれた。夢に向かう方法は一つじゃないんです」 バラエティ進出後、レギュラー12本と人気は拡大。さらに映画『機動戦士ガンダムF91』の主題歌『ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~』に抜擢、デビュー6年目にして初めてオリコンウィークリーのベスト10を果たし、全国ツアーも実現することに。こうして、森口博子流のオリジナルなポートフォリオが作られていく。 ※3回目に続く 『ANISON COVERS 2』 “大人のためのアニソンカバー”をコンセプトとした第2弾アルバム『ANISON COVERS 2』を2024年8月7日にリリース。通常盤ジャケットや歌詞カードのビキニ姿のグラビアが話題に。前作に引き続き1980~90年代にかけて発表されたアニソンの名曲を中心にセレクトし、森口博子がカバー&セルフカバーする。アニメ『みゆき』EDテーマ『想い出がいっぱい』や、アニメ『シティーハンター2』EDテーマ『STILL LOVE HER (失われた風景)』、アニメ『おジャ魔女どれみ』OPテーマ『おジャ魔女カーニバル!!』、国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』初代OPテーマ『ゆめいっぱい』などをリアレンジ。豪華アーティストともコラボを果たした珠玉の全10曲。 「森口博子39(サンキュー)コンサートツアー」 2025年1月12日(日)、東京・昭和女子大学 人見記念講堂で開催。新譜収録曲ほか、森口博子のエンターテインメント性たっぷりなステージが堪能できる。30アクリルスタンドなど、豪華ステージグッズも販売。 [日程]2025年1月12日(日) [会場] 東京・昭和女子大学 人見記念講堂 [時間] 開場16:30 / 開演17:30 チケット料金:全席指定¥9,350(税込) 来場者特典付 森口博子/Hiroko Moriguchi 1968年福岡県生まれ。4歳から歌手を目指し、中学時代には福岡のスクールメイツ(歌って踊るダンサーグループ。当時はバックダンサーとしても知られた)に所属しダンスを修業。この時期に数々のオーディションに落選し続け、のちにNHKの歌謡TV番組『勝ち抜き歌謡天国』全国大会で準優勝。1985年にテレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』オープニングテーマ『水の星へ愛をこめて』でデビュー。1991年には映画『機動戦士ガンダムF91』主題歌『ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~』がヒット。同年から6年連続でNHK『紅白歌合戦』にも出場。音楽活動のみならず、現在放送中のBS11『Anison Days』ほか、幅広いジャンルで活躍。