歯の詰め物(インレー)が取れる原因・対処法はご存じですか? 放置のリスクや注意点も歯科医が解説!
詰め物が取れた時の治療法 詰め物が再利用できるケースとできないケース
編集部: 詰め物が取れてすぐに受診したら、取れた詰め物をそのまま再利用できますか? 中牟田先生: 接着剤の劣化だけが原因で歯にむし歯がなく、歯や詰め物が欠けたり変形したりしていなければ、基本的に再装着が可能です。また、むし歯がある場合でも、むし歯を取り除いた後に詰め物を戻して、歯との間にすき間がなければ再装着できることもあります。だだし、樹脂の詰め物の場合、多くのケースで欠けたり劣化していたりするため、再利用ができません。 編集部: では、以上に当てはまらない場合は詰め物のやり直しが必要なわけですね。 中牟田先生: そうですね。「歯にむし歯や欠けがあって、詰め物を戻してもすき間が空いてしまう」「詰め物に欠けや変形がある」「歯が動いて詰め物が元に戻せない」「樹脂が劣化している」などのケースに関しては、新しく詰め物を作り直す必要があります。 編集部: その場合、治療はどのように進められるのでしょうか? 中牟田先生: いずれのケースも基本的にはもう一度歯を削ってから型取りをして、新しいものを作っていきます。むし歯がある場合はむし歯を取ってから、むし歯がない場合は古い接着剤などを除去してから歯の形を整えて、歯型を取る流れです。 編集部: 治療回数はどのぐらいかかりますか? 中牟田先生: だいたい2~3回が目安です。来院当日に歯を削って型取りまでできれば、通常は2回の治療で新しい詰め物が入ります。ただし、予約状況によっては当日に仮詰めのみの応急処置となる場合もあるため、その場合は3回の通院が必要です。また、歯が大きく欠けたり、むし歯が奥深くまで進行したりしている場合は、これよりもさらに回数や時間がかかる場合があります。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 中牟田先生: 詰め物(インレー)が取れた場合、状況によっては再装着が可能ですが、中古品を再利用するようなものなので長持ちは期待できません。例えば、1年以内に再装着したものが再び取れた場合、もう一度つけ直しても、次はもっと短い期間で外れる可能性が高くなります。したがって、保険の詰め物の場合は何度もつけ直すよりも、新しく作り直すことをおすすめします。その方がトータルのコストや時間的な負担も減らせるでしょう。金合金やセラミックなど自費診療でおこなった詰め物については、歯科医院によって扱い方が異なる場合があるため、かかりつけの歯科医師にご相談してください。