歯の詰め物(インレー)が取れる原因・対処法はご存じですか? 放置のリスクや注意点も歯科医が解説!
詰め物(インレー)が外れてしまう原因と取れたまま放置するリスク
編集部: そもそもなぜ、詰め物が取れてしまうのでしょうか? 中牟田先生: 保険の銀歯を例に挙げると、主に2つの原因があります。1つは接着剤の劣化です。市販のテープや接着剤と同様に、詰め物を歯につける接着剤(セメント)も時間が経つと劣化して、詰め物が取れやすくなります。2つ目の原因は、詰め物と自分の歯の境目にできるむし歯(二次むし歯)です。目では確認できない詰め物と歯の境目の段差や隙間からむし歯が発生して、中へ進行することで詰め物が取れてしまいます。 編集部: 「接着剤の劣化」と「むし歯」のほかにも原因はありますか? 中牟田先生: 噛む力も、詰め物が取れる要因の1つです。歯ぎしりや食いしばりなどで、接着剤の能力を超えるような過剰な力が加わると、詰め物が取れることもあります。また、過剰な力は詰め物が破損する原因になり得ます。さらに、詰め物は長年使い続けると徐々にすり減って薄くなることがあり、これも詰め物が取れたり、破損したりする原因となります。 編集部: 外れても「痛くない」という理由でそのまま放置した場合、どのようなリスクがありますか? 中牟田先生: 先述した「歯が欠ける・割れる」というほかに、「歯が動く」というリスクがあります。詰め物が取れたことで、隣の歯や噛み合う歯の間にすき間ができてしまうと、歯はそのすき間を埋めるように寄ったり傾いたりしてきます。そうすると、取れた詰め物を元には戻せませんし、歯が大きく動いてしまうと矯正治療が必要になることもあるため注意が必要です。 編集部: 詰め物が取れたら早く受診した方がいいのは、「歯が動く」という理由もあるからなのですね。 中牟田先生: 歯が動く現象は詰め物が取れてから徐々に進み、人によっては1週間ほどで取れた詰め物を元に戻せなくなってしまうため、できるだけ早い段階で受診しましょう。痛みがないからといって、放置するのはやめてください。放置した結果、歯が動き、治療に時間や費用がかかってしまうケースも少なくありません。したがって、治療を簡単に、短期間で済ませるためにも、時間を置かずに受診することをおすすめします。