大慣性モーメントが全盛のドライバー市場。“ミニドライバー”人気が衰えない理由は?
「『パラダイム Ai Smoke 340』に限っていえば、当初は米国の遊戯ゴルフ施設『TOP GOLF』のレンタルクラブとして発想されたヘッドの大きさ、長さのドライバーになります。壊れにくくて、初心者でもボールに当てやすいドライバーとはどういうものか? そうした観点から開発が始まったのです。ただし43.5インチ前後のクラブについては、これまでも2番ウッド的なクラブで対応してきており、ミニドライバーへのニーズも同様のものがあると思います」(キャロウェイゴルフ/茂貫太郎氏) キャロウェイのミニドライバーの開発動機は非常に意外だが、試作テストを繰り返す中で、プロサービスをはじめとする多くの関係スタッフの注目を集め、「こんなにパフォーマンスがいいなら一般発売すべきではないか」という機運が一気に高まっていったという。結果としては、テーラーメイドと 同じように、45インチ以上の通常ドライバーを苦手にするゴルファーの選択肢となり得ると判断されたわけだ。
PGAツアーでも流行の兆し!? 長短二刀流で切り開く新しいドライバーの世界
プレーヤーのミニドライバーへの興味は、単に最新の大型ヘッドを苦手とするプレーヤーの選択肢という枠組みを超えてきている、と柴崎氏は言う。 「テーラーメイド契約のトミー・フリートウッドがその恒例です。彼は通常レングスの『Qi10 LS』を使いながら、『BRNR ミニ』もセッティングしています。彼のように長さの違うドライバーを2本入れることで、最大飛距離が出る『Qi10 LS』とフェアウェイウッド(5W)のギャップをちょうど埋めることができるのです」 ギャップとは飛距離の差であり、ドライバーと5Wの長さの隔たりとも言える。現在の長尺ドライバーは最大飛距離を追求しているため、開発者はシャフトを短くすることはまずしない。長尺のままヘッドスピードを上げ、長さによる打点のばらつきは広域反発フェースや慣性モーメントの増大によって補うのが基本スタイルだ。