<小西克幸>「デリコズ・ナーサリー」 ゲルハルトの“叱責”を表現 ダリとの心の距離感を意識
「父親たちは、子供たちが騒いでいるそばで、任務のための会議をしているんですけど、こんなにうるさかったんだ!と思って、面白かったです。普通のアニメでは、メインのキャラクターのせりふが聞き取りやすいように周りのボリュームを落とすと思うのですが、『デリコズ・ナーサリー』の場合はそうではなくて、あのアンバランス感は好きですね」
アニメでも「TRUMPシリーズ」を手がける末満さんが原作・シリーズ構成・脚本を担当しており、舞台的な演出が織り込まれているという。
「子供がいる中で会議をするシーンもそうですが、本編の裏でも、ちゃんと物語が進んでいるということが明確に記されている気がしました。舞台はやはり生ものなので、同じ演目でも、演じている方の感情、演出が変わっていきますよね。アニメの収録でも、監督から『これを聞いてみたい』『こんな感じはどうでしょう』と同じせりふでもいろいろなパターンを要求されて、いろいろな道を一緒に作ってくださって、舞台を作っているような感覚だったんじゃないかと思います」
◇ゲルハルトはどんな子育てをするのか?
「デリコズ・ナーサリー」の魅力の一つは、吸血種の貴族たちが慣れない子育てに奮闘するシーンだ。小西さんも「子供たちへの距離感は非常に難しい」と語る。
「ゲルハルトたちは、本来、子育ては乳母に任せるものであって、自分の仕事じゃないと思っている。貴族はもっと別のやらなければいけない仕事があって、それが自分の使命だと厳格に考えていると思うので、いざ子育てをやるとなると、どう接していいか分からない。だから、泣いている赤ん坊を渡されて『泣くな!』と言ってしまう。圧をかければ泣きやむと思っているんですよね(笑い)。全く慣れていない。今後、彼らの子育てがどうなっていくのか、ちゃんと向き合うのか、気になるところですよね」
厳格で生真面目なゲルハルトを演じることは、小西さんとって挑戦でもあったという。