2冠達成のサニブラウンは100mと200mのどちらで世界と勝負すべきか?
福岡で開催された陸上日本選手権は男子200mでも、サニブラウン・ハキーム(フロリダ大)が強さを見せつけた。爆発的なスピードで飛び出すと、前半でリードを奪う。後半は小池祐貴(住友電工)が食い下がるも、終盤に差を広げて、100mに続くタイトルを獲得した。 「スタートからスムーズに出られて、前半はいいかたちを作ることができました。後半は間延びしてしまいましたが、疲れていたので仕方ないかな」とサニブラウン。 4日間で100m×3本、200m×2本のスケジュールに加え、高温多湿なコンディションでの戦いは疲労度も大きかった。前日の200m予選は、強い向かい風に苦しめられたこともあり、20秒84(-1.8)。そこから最後の1本はギアを上げて、タイムを20秒35(-1.3)まで引き上げた。 2位は小池で20秒48、3位は桐生祥秀(日本生命)で20秒54。ふたりの順位が入れ替わったものの、トップ3は100mと同じ顔触れだった。2年前の優勝タイムは20秒32(+0.3)。雨と向かい風の条件を考えると、サニブラウンのパフォーマンスは悪くなかった。 弱冠20歳のスプリンターは、2年ぶり2回目となる短距離2冠を達成した。これは史上最多で生駒一太(47、49年)、豊田敏夫(77、79年)に並ぶ、40年ぶりの快挙となる。しかし、サニブラウンはそんなことはまったく気にしていない。 「2冠はやることをやっただけで特別な思いはありません。2017年の自分ができたことなので、もっと強くなっている自分ができないわけはないと思っていましたから。練習でやってきたことを出せれば、問題なく勝利は見えてくると頭に置いていました」 サニブラウンの最終的なターゲットは、「世界記録」という大きなもの。今シーズンの世界最高は、100mが9秒81で23歳のクリスチャン・コールマン(米国)。2位は21歳のノア・ライルズ(米国)と全米学生選手権で敗れた22歳のディバイン・オドゥドゥル(ナイジェリア)が9秒86で並んでいる。200mは19秒70で、こちらは日本人の母親を持つ21歳のマイケル・ノーマン(米国)。2位は19秒72のライルズで、3位は19秒73のオドゥドゥル。世界のトップを見つめるサニブラウンが、この差を意識しないわけがない。 「全米学生選手権もそうでしたけど、最後はストライドが間延びして、腕振りも適当になってしまった部分があった。世界のトップ選手は、悪天候の中でもラストまで気を緩めず、練習でやっていることを出せるので強い。自分もそういう選手になりたいと思います」