2冠達成のサニブラウンは100mと200mのどちらで世界と勝負すべきか?
本人も「200mの方がぜんぶ出し切れるので、好きというか、得意なのかなと思います」と語っている。とはいえ、200mは直線のみで争われる100mと異なり、コーナーからスタートを切り、カーブを駆け抜けて、直線に入る。求められる技術は100mよりも多い。スピードはもちろん、スタミナも必要で、ペース配分も簡単ではない。 2年前のサニブラウンは、城西大付属城西高校を卒業して、4月から南アフリカ、オランダと渡り、フォームをイチから直して、スタート部分や脚の運びが変わったという。今回はそこからまたガラッと変わっている。 「アメリカのまったく違う環境で練習をして、コーチも違います。2年前と比べて、走りの内容も変わりました。それに2017年はただ走っているだけでしたが、今は頭を使っていろんなことを考えながら走るようになったんです。技術面もそうですが、自分のレースパターンを走る前から組んで、それを実行できるようにしています」 日本選手権では、100mで両膝をつくスタートを試したが、200mでは従来のスタートに戻すなど、自身で戦略を練っている。もともとマイペースな性格だが、大会の雰囲気に飲まれないように、競技に集中できるようになったことも成長に挙げていた。 そんなサニブラウンの現状を考えると、200mは100mよりも実績があるだけでなく、まだまだ改善する余地がたくさんあるといえるだろう。 ドーハ世界選手権については、具体的なタイムを口にすることはなかったが、「もっと速い選手と走ることになるので、タイムもそうですけど、自分に要求される走りの技術度も上がってくる。今回の課題を米国に持ち帰って、もっといい走りができるように準備して、決勝に食い込みたい」と答えた。 2年間の成長をポジティブにとらえると、3回目の出場となる世界選手権は、100m準決勝と200m決勝で前回以上の走りが期待できる。仕上がり次第では、200mはメダル争いに加わることができるかもしれない。 (文責・酒井政人/スポーツライター)