アジアの為替トレーダー、FRBと中国の失望リスクに備え-介入警戒
中国人民銀行(中銀)は7日、人民元の対ドル中心レートを約1年ぶりの水準に引き下げたが、当局が人民元の急落を容認する可能性は低いとの見方が依然として根強い。
ING銀の大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「人民銀は過度な人民元安を防ぐために再び介入を強めるだろう」と述べた。
トランプ氏の勝利を受け、投資家がドル高を含むいわゆる「トランプトレード」を再燃させたことでドルは1年ぶりの高値を付けた。これを受け、メキシコ・ペソや韓国ウォンなどの通貨が数年ぶりの安値に沈んだ。
FOMCを無事に乗り切ったとしても、トレーダーは中国に対処しなければならない。全人代常務委は今週の会議後に追加の刺激策を発表するとみられている。
中国政府は経済支援に向け、9月下旬の集中的な政策発表を含め一連の対策を打ち出しているが、アナリストは成長回復には消費を刺激する必要があると指摘している。
政策当局が8日に期待に応えられなければ、トレーダーらは米国の追加関税による打撃を織り込み、人民元が再び下落する可能性がある。
通貨切り下げリスク
一部のアナリストは、トランプ氏の返り咲きによってドル高が続けば、より悲惨な結果を招くと警告している。当局が輸出の競争力維持に向け競い合う中、アジアで通貨戦争が勃発する可能性があるという。
中国はトランプ氏の標的になっているため、米国の関税リスクが高まれば、空売り筋は人民元を標的にする可能性がある。また、韓国ウォンが1ドル=1400ウォンという重要な節目を突破し、インドネシア・ルピアとフィリピン・ペソが数カ月ぶりの安値を付けるなど、リスクはアジアの他の地域にも波及している。
ジェフリーズの外国為替グローバル責任者ブラッド・ベクテル氏は、中国には「ほとんど選択肢がない」とリポートで言及。中国は「トランプ氏の関税に反応して通貨を切り下げるだろうが、その切り下げ幅は自国への経済的影響に関する認識と一致するものになるだろう」とコメントした。