少数与党で政策決定過程に変化…経済対策・税制改正巡り国民以外の野党とも協議、合意形成で難航も
自民、公明両党は12日、総合経済対策のとりまとめに向けて国民民主党以外の野党にも協議を呼びかける方針を決めた。税制改正の議論でも野党に配慮する構えで、与党の政策決定過程は、少数与党となったことで大きく変容している。
「国民民主と政策協議をしているが、立憲民主党、日本維新の会をはじめ、より広い意見を聞くことで合意した」
自民の小野寺政調会長は12日、公明の岡本政調会長と国会内で会談後、記者団にそう語った。石破首相(自民党総裁)が11日、両氏に野党との協議を指示したことを受けたものだ。
自民は週内にも経済対策のとりまとめを小野寺氏に一任した上で、国民民主を交えた3党の協議を具体的に進める。今月下旬の閣議決定を目指しており、立民などにも協議を呼びかけ、財源の裏付けとなる今年度補正予算案とともに賛同を得たい考えだ。
政府の法案や予算案は従来、過半数を占める自公両党で方針をすり合わせて合意すれば、「国会での成立が確約されていた」(閣僚経験者)。自民の場合、常設の最高意思決定機関である総務会での決定は、議員に党議拘束をかける役割を担う。一連のプロセスで野党の意見が反映されることはなかった。
これが少数与党になって一変した。野党の賛同を得ないと法案も予算案も成立しない状態となり、国民民主の協力が不可欠となっている。同党の玉木代表は「新しい政策決定のルールを形作っていかないといけない時代に入った」と強調する。
もっとも、政府・与党内だけでプロセスが完結しなくなるため、合意形成は手間取りそうだ。12日の自公国3党の政調会長会談で国民民主は、経済対策に関して新たに15項目の要望を与党側に突きつけた。すべてを反映すると予算規模が想定より膨らみ、調整に時間がかかる可能性がある。
一方、立民は与党側との政策協議には否定的で、小川幹事長は12日の記者会見で「非公式な談合と見られかねない」と述べた。呼びかけがあっても応じず、予算委員会など国会審議の場で議論し、必要なら予算案や法案の修正を政府・与党に迫るとみられる。
立民は、与党が長年の慣例としてきた「事前審査制」も批判しており、小川氏は「過半数を握った状態で事前に形式的に審査し、儀礼的に通過させるという、まるで下請け機関のように国会を殺してきた本丸だ」と指摘した。