【最新版】「防災意識や親切心につけ込む」高齢者が狙われる“4つの詐欺”の巧妙手口
断捨離ブームで押し買いが増加
一方、断捨離ブームでCMや専門店も増えている不用品の買い取り。その中で訪問買い取りトラブルに関する相談件数が右肩上がりで増加中。 「入り口は勧誘電話で、不用なお皿を買い取りたいなどと持ちかけます。承諾すると後日業者が自宅を訪問し、お皿は二の次で貴金属の買い取りを迫ってくるのが典型的なパターン。 直近では能登半島地震を受け、『不用品を買い取り被災地支援にあてる』などと慈善事業を装うトークが加わっているので警戒を」(同センター、加藤良太さん) 最初から貴金属の押し買いを狙い、買いたたく手口だ。 「貴金属7点で買い取り価格はたったの5000円、また、高価なはずなのに1万円程度で強引に買い取られてしまったという声も寄せられています」(加藤さん) 伊藤弁護士によると、押し買いの被害者は女性が8割。 「訪問業者には一人で相対しないこと。一人の場合は貴金属の買い取りをきっぱり断るか、断れなければ一度考えると伝えて、すぐ契約を結んではいけません」(伊藤弁護士) 詐欺手口は時代や社会の事象に応じて変化し、心の弱みをつく話術も巧妙化している。私は大丈夫と思わず、防衛意識と対策を心がけよう。 不安を感じたら、消費生活センターや警察などへ相談を。
相談数が多い詐欺的手口4
老人ホーム入居権トラブル (1)「あなたは入居権を持っている」「名義を貸して」などと電話で持ちかける (2)「権利を譲るためにお金を振り込む必要がある」などお金の支払いを迫る (3)「名義貸しは罪になる」「警察に相談すると大変なことになる」などと脅される 還付金詐欺 (1)役所などを名乗り「お金が返ってくる」という電話がかかってくる (2)銀行などのATMに誘導され、お金の振り込みを指示される。またはインターネットバンキングで手続きすると言われ、口座番号と暗証番号を聞き出される 屋根工事の点検商法 (1)突然訪問し「屋根が浮いている。無料で点検してあげる」などと親切心を強調 (2)点検後、「このままだと瓦が飛んで近所に迷惑がかかる」などと不安をあおる (3)「この場で契約するなら特別に安くする」などお得を謳った後、別の箇所も工事が必要と言い出し高額な契約を迫る 貴金属の訪問押し買い (1)「なんでもいいから不用品を売ってほしい」と来訪の約束をさせる (2)訪問し、玄関先から家に上がろうとする (3)不用品以外の貴金属などを強引に安い金額で買い取られる 教えてくれたのは……伊藤 建弁護士●法律事務所Z、代表弁護士。消費者被害、公共政策、事業支援を得意分野とする。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大学法科大学院修了。日本海ガス株式会社に在籍後、2022年に現事務所を創立。富山県弁護士会所属。 国民生活センター相談情報部●国民生活センターは消費者庁が運営する独立行政法人で消費者問題の中核機関。消費生活に関する情報を全国の消費生活センターから収集し、消費者被害の未然防止・拡大防止を担う。今回は相談情報部の3人に話を聞いた。 取材・文/百瀬康司