SCSK、データ統合基盤・AI基盤を一括で提供する「NebulaShift ai」
SCSK株式会社は16日、AI活用に必要なデータ統合基盤・AI基盤「NebulaShift ai」の提供を開始した。 NebulaShift aiは、SCSKが2023年に提供を開始したクラウドネイティブ・オファリング「NebulaShift」を、AI領域に拡張するもの。企業が保持するさまざまなデータを収集・分析・加工するデータ統合基盤・AI基盤および伴走支援サービスを、顧客のニーズに合わせた環境で提供する。SCSKのシステムインテグレーション、システム運用実績やアプリケーション開発、AI研究開発力と参画するベンダー製品の強みを組み合わせることで、より高精度なAIモデル開発を実現し、企業のDXの推進を支援する。 SCSKでは、今後、生成AIはリアルタイム性や、テキストや画像など複数のデータ形式を扱うマルチモーダル性が求められ、精度と自律性が向上すると予想され、精度の高い予測や分析を行うためには、企業固有のデータセットをAIに適用することが重要だと説明。一方で、機微なデータを扱う際にはデータガバナンスやプライバシーへの配慮が必要で、データ分析やAIモデル開発、AIによる推論には、高性能なハードウェアが求められるため、セキュリティやコストでのメリットがあるハイブリッド環境、オンプレミス環境のニーズが高まっているとしている。 また、AI技術の急速な発展に伴い、組織や人材育成におけるリソース確保が課題になっており、こうした課題を解決するため、顧客がAIを活用するために最適なインフラの提供やAI活用を支援する、統合的なマネージドサービスを提供するとしている。 NebulaShift aiは、SCSKのデータ連携・基盤運用の強みに加えて、マルチベンダーによる柔軟なソリューション提供を生かしたハイブリッド型のデータ統合基盤、AI基盤を提供するとともに、顧客に伴走してAI活用も支援する。 サービスでは、データ統合基盤、AI基盤、伴走支援サービス、柔軟に選択可能なインフラ環境、高付加価値データセンターサービスの5つの構成要素を一貫して提供することで、顧客のAI活用をトータルサポートする。 データ統合基盤は、データ仮想化技術やデータレイクハウス技術により、取り扱うデータ種別やデータ発生場所に関わらず、一元的な基盤を提供する。これにより、データのサイロ化を排除し、データ分析の効率を向上させ、かつデータ品質を担保することで、高精度なAIモデルの作成を可能にする。 AI基盤は、パフォーマンスを最大限発揮できるリファレンスアーキテクチャに基づき、顧客の要件やニーズに応じたベンダー各社のソリューションとともに提供する。また、複雑な運用を簡略化し、開発・パイロット環境から本番環境への迅速な移行や、本番環境の容易な拡張を可能にする。 伴走支援サービスは、顧客のAIコンサルテーションに向けて、データエンジニアやデータサイエンティスト、AIエンジニアが伴走型で支援する。さらに、オープンソースLLMを用いたRAG・ファインチューニング技術やマルチAIエージェント技術などを活用して、生成AIの精度向上をサポートする。 柔軟に選択可能なインフラ環境は、オンプレミス環境、パブリッククラウド環境など、顧客のAI活用に適したインフラ環境を提供する。また、大規模モデルや複数モデルでの推論、データガバナンスの担保にも対応する。 高付加価値データセンターサービスは、GPUサーバーなどの高発熱・高排熱サーバー向け「高負荷ハウジングサービス」、各パブリッククラウドとの閉域接続を実現するマルチクラウド接続サービス「SCNX」を活用することで、AIワークロードの安定稼働を実現する。 SCSKでは、NebulaShift ai関連事業で、2027年度末までに100億円の売り上げを目指す。
クラウド Watch,三柳 英樹