原作完結目前! これで見納め?『僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE ユアネクスト』ヒーローとは何なのか
2014年7月より「週刊少年ジャンプ」にて連載され、コミックスシリーズは累計発行部数1億部を突破した、人気マンガ「僕のヒーローアカデミア」。この5月よりテレビアニメ最新シリーズ7期が放送中で、8月2日には劇場版アニメ4作目『僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE ユアネクスト』が公開された。 通称ヒロアカと呼ばれるこの作品は、個性と呼ばれる超常能力を持つ人々が当たり前となった世界で、主人公・緑谷出久が、笑顔で人々を助ける最高のヒーローを目指し、犯罪者・敵(ヴィラン)に立ち向かいながら、仲間たちと共に成長する物語。いわゆる「努力」「友情」「勝利」を体現する王道のジャンプマンガといえる。 本作『僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE ユアネクスト』では、原作ストーリー最終章直前から始まるアザーストーリーが描かれる。この劇場版は、原作マンガ派、アニメ派どちらにも違和感のない仕上がりだと思う。もちろん、未読未視聴方も王道ゆえにストーリーに入りやすい。 王道の少年マンガの劇場版アニメに、ヒーローとは何かという点で、その魅力に迫りたい。
ヒーローの戦略
ヒロアカは日本の大ヒットマンガの類に漏れず、全世界に影響を与えている。その人気の広がりは劇場版アニメの興行収入で一目瞭然である。 国内興行収入17.2億円の大ヒットを記録した、劇場版第1作目『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE~2人の英雄~』(2018年8月3日公開)は、全米興行収入5,754,556ドルで、8.6億円超え、全世界興行収入では、21,022,724ドルで31.5億円超という結果だった。(※2024年8月1日時点のドル円レートで計算 以下同) 続く2作目『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』(2019年12月20日公開)では、国内興行収入17.9億円、全米興行収入が13,304,000ドルで約20億円、全世界興行収入が29,971,229ドルで約45億円を記録した。目を見張るべきは全米興行収入が全体の半数近くを占めていることにある。 3作目『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールドヒーローズミッション』(2021年8月6日公開)で、国内興行収入が跳ね上がり34.3億円。全米では12,271,658ドルで約18.4億円と、2作目より振るわなかったが、全世界となると46,940,541ドルの70億円超えと過去最高となった。 この結果は、ヒロアカ自体が海外にも受け入れられやすいヒーローモノで、アメコミテイストのマンガであることに加え、アメリカのAnime Expoなど大型イベントをはじめとした海外イベントへの出展など、国外プロモーションが盛んで、海外マーケット開拓に意識的だったことも挙げられるだろう。 右肩上がりの連続ヒットを続けているヒロアカ劇場版は、非常に戦略的だ。 これまでの劇場版も最新作もテレビアニメで放送された時系列に沿った内容となっている。だからオリジナルのアザーストーリーでも違和感なく入り込めるのだ。そして、公開日の8月2日には、原作のコミックス最新刊41巻が発売される。このスケジューリング、考えただけで恐ろしく大変で、愛がなければなし得ない。 公開される最新作が、これまでの興収記録を塗り替える可能性は十分にある。 ヒーローとは強かでなければならない。