巨人の選手はゴルフをやるにも品格が求められる。昔はコースへ出るのも『石の上にも3年』かかった【堀内恒夫の悪太郎の遺言状】
最初はゴルフバッグを担ぐキャディーからやらされた
プロ野球選手にとってもゴルフから学べるものはある。写真は1988年「名球会ゴールデンスター・チャリティー・ゴルフ・トーナメント」での長嶋茂雄氏
シーズンオフになると、プロ野球選手はゴルフに興じる者が多い。野球とゴルフには相通ずるものがあるのか。 かく言う俺も、プロ2年目の1967年オフにゴルフを始めた。高校時代の恩師・菅沼八十八郎さん(元甲府商高監督)から「オフの間に遊んでばかりいてはダメだ。ゴルフでもやりなさい」と言われて、最初は菅沼さんのキャディーをやらされたんだ。 俺と同じ山梨県出身の菅沼さんは、クラブチャンピオンに輝くほど、ゴルフが上手な人だった。俺の入団時に、ゴルフの上級者が集う巨人の中でもトップクラスの川上哲治監督、藤田元司投手コーチ、牧野茂守備作戦コーチと一緒にラウンドして、コテンパンにやっつけてしまったと言うから、相当な腕前だったことは間違いない。 菅沼さんのゴルフバッグを担ぎながら、「巨人では大きなゴルフコンペにも出なくてはならないから、ルールやマナーをキチンと覚えておくんだぞ」と言われて、徹底的に教え込まれた。 巨人というチームは野球以上にゴルフにも厳格で、若手がクラブを握り始めてから、3年くらいかけてルールやマナーをシッカリと覚えさせられたものだよ。たとえば、グリーン上ではパターのラインを踏んではいけないとか、構えてスイングするときに余計な動きを見せて、周りの人たちに迷惑を掛けてはいけないということも教えられた。これも、川上さんのゴルフを通じての人間教育の一環だったと言えるのではないかな。 昔はコースへ出たことのない入団1、2年目の選手が、いきなりゴルフ場で、新品のクラブに巻いてあるビニールをはがして、フェアウエーへ出ていくようなことはあり得なかったからね。しかも、ギャーギャーとバカ騒ぎしている選手もいる。本当に「ふざけるな! ゴルフとはそういうものではないだろ」と言いたくなるよな。 そんな調子だから・・・
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週刊ベースボール