出力規制ない“海外製”か…上空約1kmの自衛隊輸送機に『レーザーポインター』の光 照射の危険性と問われ得る罪
愛知県小牧市の航空自衛隊小牧基地に所属する輸送機が、2024年11月、飛行中に地上からレーザーの照射を受けました。 【画像で見る】出力規制ない“海外製”か…上空約1kmの自衛隊輸送機に『レーザーポインター』の光 照射の危険性と問われ得る罪 光が目に入ると視力が低下したり、乗り物の運転中に目に照射されれば大事故にもつながりかねないため、レーザーポインターの取り扱いには注意が必要です。
■上空1キロまで緑の光…自衛隊機にレーザーポインター照射
航空自衛隊小牧基地によりますと11月14日夜、K/C-130H(ケーシー130エイチ)輸送機が、着陸のため小牧の基地へ向かっていたところ、基地の南西約15キロ、津島市とあま市の境目あたりの上空1キロのところで、貨物室にいた隊員が、窓から入った緑のレーザーの光を数秒間にわたり確認したということです。乗員と機体に被害はありませんでした。 小牧基地は「最悪の場合、パイロットが目が見えなくなり、墜落する恐れもあり、乗員や地上の住民の生命を脅かす非常に危険な行為として、警察に通報した」ということです。 レーザーポインターは一般的に、講義などで差し棒がわりに使われたり、他にも測定や、位置決めなどにも使われたりしています。
■過去にも相次いだ“レーザーポインター事件”…「幅寄せされカッとなった」と話した男も
レーザーポインターの照射事件は、これまでにも起きています。 3年前、東名高速を走る車に突然、対向車線の車から、強い緑色の光が照射されました。レーザーポインターです。 その後の捜査で、警察はレーザーポインターを使った当時61歳の男を書類送検しました。 東京都目黒区では2019年1月、路線バスの運転手にレーザー照射した男が暴行と威力業務妨害容疑で逮捕されていて、男は「バスに幅寄せされたと感じ、カッとなった」と容疑を認めたということです。 沖縄県でも2015年7月、米軍ヘリに9分間、レーザーポインターを照射した男が逮捕され、威力業務妨害の罪で罰金50万円が言い渡されました。
■視力低下や失明の可能性も…照射で問われる罪と罰
国民生活センターによると、子供が遊んでいるうちにレーザー光線が目に入り「視力が片方の目だけ0.1以下に落ちた」といった相談もあったということです。 レーザーの危険性について、名古屋市千種区の「中村眼科クリニック」の中村富雄院長に聞きました。 中村院長によるとレーザーは「強い光の束」で、目の奥の網膜まで届き、網膜がやけどを起こして視力低下や失明の危険性があり、元に戻らないことがあるということです。 そして問われる罪について、レーザーポインターの照射に関する相談を受けたことがあるという「OSAKAベーシック法律事務所」の中村友彦弁護士に聞きました。 中村弁護士によると、レーザーポインターを目に向けた時点で「暴行罪」(2年以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留、科料のいずれか)、実際に傷を負わせた場合は「傷害罪」(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)で、傷害の結果相手が死亡した場合は「傷害致死罪」(最長20年で3年以上の有期懲役)に問われます。 また、飛行機やバスなどの業務を妨害した場合は「威力業務妨害罪」、そして「道路交通法」では「運転者の眼を幻惑するような光をみだりに投射すること」を禁止していて、罰金5万円です。 飛行機に対しては、別の法律もあります。航空に関する法律で、レーザーポインターで照射する行為を禁止(50万円以下の罰金)していて、航空の危険を生じさせた者に最長20年で3年以上の有期懲役などと定められています。 中村弁護士は「レーザーポインターで操作を誤れば、重大な事故が起こる。量刑としては見合ってないのが現状」と話しています。