暑い夏「急に立ち上がる」と命にかかわるかも…急な血圧低下が転倒・ショック状態を招く!上皇陛下執刀医が教える<低血圧>の注意点
◆立ち上がるときなど、心臓に戻る血液量が一時的に減って低血圧に 夏場の低血圧では「起立性低血圧」にも気をつけましょう。急な立ち上がりや長時間立ち続けていることで生じます。 座ったり横になったりしている状態から立ち上がるとき、重力によって血液が上半身から下半身に移動してたまります。それによって全身から心臓に戻る血液量が一時的に減り、心拍出量が低下して血圧も下がります。 このとき、通常であれば交感神経が働いて血管を収縮させ、速やかに血圧を正常化します。しかし、人工透析や糖尿病の患者さんは、交感神経がうまく働かなくなっているため、血圧が下がったままの状態になってしまいます。座ったり寝ていたりするときに比べ、立ち上がったときの血圧がストンと下がるのです。 また、エキサイトしやすくストレスを抱えていて血圧が上がりやすい人、高血圧のなかでも拡張期血圧が高い人に関しては、年をとるとともに寝ているときと立ち上がったときの血圧の差が大きくなる傾向があります。 ですから、たとえば夜中に目覚めてトイレに行く際などに、血圧が一気に下がってフラッとなり暗い中で転倒して頭を打ち、事故につながる危険があるので要注意です。
◆心臓疾患がある人は、低血圧で心臓が止まる危険性も 起立性低血圧が起こった場合でいちばん危険なのは、基礎疾患として大動脈弁狭窄症や、心房細動性の徐脈(じょみゃく)(1分間の脈拍が60回未満になる)がある人です。 急に血圧が低下するとさらに脈拍が減るため、ショック状態になって心臓が止まる危険があるのです。 心臓の反射作用に、心房に入る血液量が増えると心拍数を増加させて心房内の血液を早く動脈内に押し込もうとする「ベインブリッジ反射」というものがあります。血管内の血液量が減ると脈拍数を落とすので、血圧低下が助長されます。 普通ならば血圧が急に低下しても血の気が引いたくらいの状態で済むのですが、その反射が極端な人はそのまま意識を失ってしまうとか、心臓が止まってしまうといった状況を招くリスクがあるのです。
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