センバツ甲子園 大分舞鶴・大島、紡ぐ友情 九州地区大会で雨中の延長引き分け再試合 /大分
◇堅守披露の後藤選手に「めちゃくちゃうまかった」 第94回選抜高校野球大会の開幕試合に登場する大分舞鶴の選手が、昨秋の九州地区大会で引き分け再試合を演じた大島(鹿児島)のOBと交流を続けている。そろってセンバツ出場を果たした両校。OBは大分舞鶴の応援にも駆けつける予定だ。【辻本知大】 ◇祝電に礼状「ファンになった」 きょう初戦を応援 両校は2021年11月6日の九州地区大会1回戦で対戦。4―4のまま延長十回までもつれ、雨のため引き分け再試合になった。その試合をスタンドから見ていた大島の野球部OB、龍田孝一郎さん(56)=鹿児島県奄美市=は大分舞鶴のショート、後藤駿太選手(2年)が印象に残った。 降りしきる雨でグラウンドはぬかるんでいた。それでも後藤選手は冷静に打球をさばき、堅い守りを披露。自身もショートを守ったことがある龍田さんは「雨中の緊迫した試合でエラーしない。日ごろから努力しているのだろう」と感服した。 翌日の再試合前、球場近くでウオーミングアップをしていた後藤選手らのそばを通りかかった。選手らは立ち上がって「こんにちは!」とあいさつしてくれた。感激した龍田さんは後藤選手に「大高(大島)OBです。昨日は雨でぬかるんでいたのに、めちゃくちゃうまかったよ」と声をかけた。後藤選手は「今日もやります」と応えた。 再試合は3―2で大島が勝利。龍田さんは試合後、後藤選手らをねぎらいたかったが、心中を思いやると声をかけられなかった。その後、大島は九州地区大会で準優勝。大分舞鶴も21世紀枠の候補に選ばれた。今年1月28日、両校のセンバツ出場決定を知った龍田さんは、すぐ大分舞鶴に祝電を打った。 祝電で、龍田さんは後藤選手のことにも触れた。「背番号6の選手のすがすがしい態度が忘れられません」。それを伝え聞いた後藤選手も「自分のプレーを見てくれていたとは」と感激。早速、礼状を書き「大島高校も出場おめでとうございます。九州地区大会で逆転された時、スタンドの応援がすごくて、OBの皆さんの一体感を感じました」とつづった。 礼状を読んだ龍田さんは「言葉は丁寧、文字もきれいで、話した時の印象のまま。彼のファンになりました」。他のOBにも見せて回ったところ、感動して涙を流す人もいたという。浦和学院(埼玉)と対戦する大分舞鶴の開幕試合は龍田さんも応援に行く予定だ。「つながりができたことがうれしい。昨秋のままの強さで、粘りに粘って勝ってほしいです」