主役候補チェルヴィニア、ステレンボッシュの取りこぼしは十分あり得る!? 京都の内回りを攻略できる勢い果敢な先行馬【秋華賞】
ひと夏を越して成長した侮れない”先行馬”とは――
ピックアップしたいのは、クリスマスパレード(美浦・加藤士津八厩舎)、タガノエルピーダ(栗東・斉藤崇史厩舎)の2頭だ。 クリスマスパレードはキタサンブラック産駒の青鹿毛馬。デビュー2連勝を飾ったものの、フローラステークス(GⅡ、東京・芝2000m)で4着に敗れてオークスへの出走を断念。その後、統一グレードの関東オークス(JpnⅡ、川崎・ダート2100m)で9着に敗れたあと、夏の休養に入った。秋シーズンは秋華賞トライアルの紫苑ステークス(GⅡ、中山・芝2000m)で始動。ここを2番手から抜け出して優勝し、同時に秋華賞への優先出走権を確保した。 前記、紫苑ステークスのレース内容が出色だった。1000mの通過ラップが58秒8という速めのペースを逃げ馬の直後で追走。苦しくなった逃げ・先行馬をよそに直線の坂下で先頭に躍り出ると、8番手から伸びてきたミアネーロ(美浦・林徹厩舎)をクビ差抑えて優勝。4回中山の開幕週だったとはいえ、走破タイムはコースレコードとなる1分56秒6を叩き出したから驚く。豊富なスピード能力と、前へ行ったら容易にバテないスタミナは父譲り。小回りコースは彼女にとって絶好の舞台になるはずだ。 もう1頭の有力馬であるタガノエルピーダは、父キズナ、母タガノレヴェントン(母の父キングカメハメハ)という血統。デビュー2戦目に牡馬相手の朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ、阪神・芝1600m)に出走し、勝ったジャンタルマンタル(牡3歳/栗東・高野友和厩舎)から0秒2差の3着に健闘した。3歳初戦のチューリップ賞(GⅡ、阪神・芝1600m)で4着に敗れて桜花賞を断念。次に臨んだ忘れな草賞(L、阪神・芝2000m)では道中4番手から第4コーナーで先頭という強気の競馬で、2着を2馬身半差で突き放して勝利をものにした。オークスでは先行したものの、直線でズルズルと後退して16着に大敗。これについて、斉藤調教師は必ずしも体調が万全でなかったと述懐している。 秋の始動戦となったローズステークス(GⅡ、中京・芝2000m)は馬体重が前走比プラス12キロとやや余裕残しの状態ながら、勝ったクイーンズウォーク(栗東・中内田充正厩舎)から0秒3差の4着とし、同調教師はこのレースを「3~4コーナーの手応えは、馬場(稍重)のこともあったのか、あまり良くなかったですが、直線ではかなり伸びてくれましたので、少しずつ(調子が)戻っているのではないかと思いました」とコメントしている。 次いで、「最近は3コーナーから4コーナーでズブいのが少し気がかりですが、京都は3コーナーから下り坂もありますし、直線も平坦で、この馬にとってはいい条件なのではないかと思います」と話し、コース設定にも光明を見出している。2走前の忘れな草賞のときのように積極的な競馬ができれば、直線でアッと言わせる走りも可能なのではないか。
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