<ルックバック>AIでは表現できない線 人間が描く意味 押山清高監督インタビュー(2)
「チェンソーマン」などで知られる藤本タツキさんのマンガが原作の劇場版アニメ「ルックバック」。6月28日に119館で公開され、公開初週の興行収入ランキングで1位を記録。大規模の上映ではないにもかかわらず、口コミで火がつき、公開3週目には興行収入が10億円を突破するなど大ヒットを記録している。監督を務め、脚本、キャラクターデザインも担当したのが押山清高さんで、原作者の藤本さんは、同作のアニメ化が発表された際に「押山監督はアニメオタクなら知らない人がいないバケモノアニメーターなので、一人のオタクとしてこの作品を映像で見るのが楽しみです」とコメントしていた。“天才アニメーター”とも呼ばれる押山監督に制作の裏側を聞いた。 【写真特集】AIでは無理 美しすぎる「ルックバック」 ビジュアル一挙公開
◇独りよがりにならないとやっていけない
「ルックバック」は、集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で2021年7月に発表され、初日で250万以上の閲覧数を記録した話題作で、マンガへのひたむきな思いが二人の少女をつなげるが、やがて大きな出来事により二人の運命が分かれていく……というストーリー。若手俳優として注目を集める河合優実さん、吉田美月喜さんがW(ダブル)主演で、声優に初挑戦したことも話題になっている。押山監督が代表を務めるスタジオドリアンがアニメを制作した。
押山監督は2004年、ジーベックで原画デビュー。2005年からはマッドハウスにて「電脳コイル」で作画監督を経験し、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」「借りぐらしのアリエッティ」「風立ちぬ」などに主要スタッフとして携わってきた。2014年の「スペース☆ダンディ」では脚本、演出も担当し、2016年に「フリップフラッパーズ」の監督を務めた。
「ルックバック」は、学年新聞で4コママンガを連載している小学4年生の藤野が、クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと先生から告げられることになる。圧倒的な画力を誇る京本と出会うことになる。“天才アニメーター”とも呼ばれる押山監督は同作に共感、共鳴するところがあった。