バルサが急に失速したのはなぜか 不安定な守備はもはや伝統、わかっていても修正できない
バルサの選手はボールプレーに優れ、攻撃に特長があり、守り抜くためには存在していない。たとえばパウ・クバルシの代わりに先発したセンターバック、エリック・ガルシアはMFも顔負けのテクニックを誇るが、対人プレーの弱さは致命的である。守りに入ったら、自ずと弱みが出る選手が多い。これは選手編成、もしくは構造上の話だ。 フリックがどれだけマーキングの大切さを説いても、あるいは優れたフィジカルトレーナーが最大限に体力を高めても、選手のキャラクターがある以上、限界がある。プレッシングのオーガナイズはできても、守る、というところでは弱点をさらけ出す。ハイラインの裏はこれからも狙われるだろうし、セットプレーでのマークの甘さは何度も指摘されることになるだろう。 わかっていても、修正には限度がある。 考えようによっては、今、起こっている失速は懸念するようなことではない。伝統には常に明と暗がある。今は後者の色が強いだけ......。 フリック監督は、バルサという歴史と対峙しながら、次の舵を切ることになるだろう。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki