親友と息子の死によって導かれた「絆画」 亡きあの人が今も”生き続けた”世界を描く
以来、大村さんが手がけた絆画は500枚以上。中には自分自身を描いた作品も…。 妊娠6カ月の時に死産となった息子。 我が子をこの手で抱く夢もかなわず、この時ばかりは仕事も手につかなかったが、自分の気持ちを整理するためにもがむしゃらに絵と向き合い続けた。 大村順さん: 息子に対して父親として何ができるかと言ったら、もう自分は絵を書くことしかできなかった。これしかできないなら、これを続けないといけないなと思った
絵のなかでやっぱり生きている
この日は完成した絆画を届けるため介護施設へ。 大村順さん: 喜んでもらえるかなとか、傷つけてしまわないかとか考えてしまう 母親と同じこの施設に入所していた父を2024年に亡くした鵜飼孝さんは「夫婦で一緒にいる時は母の手を父が握るなど夫婦仲が良かったので」と話した。
大村さんが絵を手渡すと、鵜飼さんが「お母さん絵どう?いい絵でしょ?お父さんと一緒に写っている絵だよ」と語りかける。 母のカヅヨさんは言葉こそ発しなかったが、好きなプロ野球チームのユニフォームを着た夫の絵をじっくりと見つめた。 鵜飼孝さん : 絵の中でやっぱり生きている、生きていてくれているんだなとこの絵に出会えてよかった。母親も喜んでくれていると思うし、父親のことを少しでも忘れずに思い出す機会になればいい
大切な人を改めて感じて
大村順さん: 依頼した人もそうだが、依頼した人だけではなく、その家族にとっても大切な人を改めて感じるものであって欲しいと思うし「この人がいたから、自分たちは繋がっているんだ」と家族の繋がりのようなものを感じてもらえたらいい もしも、あの人が今も生きていたら… 大村さんは遺族が叶えてあげたかった願いや未来を丁寧に聞き取り、そして寄り添いながら、これからも絆画に向き合い続ける覚悟だ。
テレビ静岡