「拒否すれば中学校生活に支障が…」被害者が悲痛な証言 教え子への性的暴行の罪に問われた元校長は一部否認
●「マッサージをしてあげる」と呼び出し
続いて、Aさんが証人として法廷に立った。Aさんの周囲には衝立があり、被告人からは見えない状態だったが、Aさんが語り始めると、被告人がそれまで前を見ていた視線を下に落とし、膝の上で拳を固く握った。 検察側と弁護人がそれぞれAさんに質問する中、被告人がAさんを巧みな言葉で呼び出し、自身が使用していた理科準備室で性的行為に及んでいたことが語られた。 Aさんは、被告人について「理科の授業はわかりやすく教えてくださっていた。板書もきれいだった」と評価し、教師として信頼があったことがうかがえた。しかし一方で、「気分のムラもありました。部員によって態度が変わることがあった」とも話した。 Aさんによると、被告人はAさんを気に入っていたといい、中学2年になると、部活のあとに「追加のマッサージや身体のメンテナンスをしてあげるという文句で理科準備室に呼ばれるようになりました」とふりかえった。
●「何をされているのか理解できなかった」
被告人は当初、ジャージの上から身体を触っていたとAさんは語った。Aさんによると理科準備室はあまり人が来ない部屋で、ドアを開けるとすぐに衝立があり、中で何をしているのかすぐに見えない構造になっていたという。 Aさんの証言によると、徐々に「マッサージ」はエスカレートし、やがて下着の中にも手を入れられるようになったり、服も脱がされるようになった。 「最初はよくわからず、こんなことをするのかと思った記憶があります。(何をされているのか)理解できていませんでしたが、気持ち悪い、どうしたらいいんだろうと思いました」とAさんは当時の困惑したことを話した。 ある時、被告人はAさんに部活動に使う道具を買ってあげると言い出したことがあった。2人で道具を買ったあと、ラブホテルに連れて行かれ、性的な行為をされることもあったという。 そうした行為を「すごく嫌だった」「いつも痛みや不快感があった」というAさんだが、検察側に「なぜそれを被告人に伝えなかったのか」と問われると、「やめてという勇気がなかった。嫌だと言ったら、被告人が不機嫌になる恐れがありました。被告人との関係が悪くなると、今後の中学校生活に支障が出る心配があると思いました」と答えた。 Aさんは、被告人に呼び出されないよう、部活を辞めることも考えた。しかし、部活を途中で辞めると内申点が悪くなるのではと不安になり、踏み切れなかったという。