だから税務署は信用ならんのだ…年金月6万円、会社は3年連続赤字も“愛車はベンツ”の80歳ワンマン社長、税務調査官の「無慈悲なひと言」に悲鳴【税理士の助言】
Aさんに多額の追徴税が課されたワケ
今回、Aさんが追徴税を課された理由は、会社の経費のなかにAさん個人の私的な費用が多額に混入していたからです。 税務署が経費として認めなかったのは次のようなものでした。 ■家族従業員や個人的な友人も参加した社員旅行の費用 ■明らかに高すぎる料亭、クラブでの飲食費 ■ゴルフのプレー代等 もちろん、事業活動に必要な費用は経費として処理することが可能です。しかし、支払った経費が社長個人的な目的で使用されている場合などは、会社の費用として否認され、社長の役員賞与などに認定されます。 なお、役員賞与となった場合、まず社長に対して個人所得税と個人住民税が課税されます。加えて、社長の役員賞与とされた場合、会社の経費に算入することができないため、法人税・法人住民税・法人事業税が課されることに。また役員賞与は消費税の仕入税額控除とならないため、消費税の納税も必要です。
税務調査の対象になりやすい法人の特徴とは
今回紹介したA社長の会社がそうであったように、赤字であっても、社長の給料を高く設定している場合や、会社の経費を多く計上して黒字を出さないようにしている法人は少なくありません。そのため、たとえ業績上は赤字であっても、次のような会社は税務署から狙われやすい傾向があるでしょう。 ■申告内容に不審な点がある場合 ■売上は順調に拡大しているものの、赤字が一向に解消されない場合 ■交際費や福利厚生費など「個人的な費用」が含まれそうな科目の金額が、同業他社に比べて明らかに多い場合 また、今回のA社長のように「前回の調査では指摘されなかったぞ!」や「他の会社もやっているじゃないか!」などのセリフは、税務調査の場では絶対にNGです。 一般的に、法人の場合は一定の期間が経過すると税務調査に入られる可能性が高まります。法人税の申告書に記入漏れや誤りがないように、また毎年ある税制改正にも対応し、適切に申告することが大切です。 そのほか、調査に入られやすい法人の特徴として、前年度と比べて売上が大きく伸びていることや、修繕費などの経費科目が大きく増加していることなどが挙げられます。 申告書を見たとき、税務署が疑念を抱きそうな点に関して、「今期の事業概況として、こういう理由で売上が増加した」、「修繕費が増加したのは、こういう理由です」などと、その旨の補足説明を記載しておくようにすると、税務調査に入られる可能性を下げることができるかもしれません。 会社の経費で贅沢三昧した結果…多額の追徴税に息子“ブチ切れ” いかがだったでしょうか? ワンマン経営の場合、社長の個人的な費用を会社の経費に入れてしまうケースも少なくありません。 Aさんの経費が税務調査で否認された結果、法人税と所得税、消費税の“トリプルパンチ”となり、多額の追徴税が課されることとなってしました。 今回の件で、長年父親のいいなりであった息子もついにブチ切れ、Aさんに大説教。その結果、反省したA社長は現在、息子への事業承継をすすめているそうです。 宮路 幸人 多賀谷会計事務所 税理士/CFP
宮路 幸人
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