元世界陸上代表・絹川愛がコスプレイヤーになるまで「アニメが支えた現役時代と母がくれた言葉」
コスプレイヤーとして
――引退してからは陸上とは全く関わらない生活を送っていたんですか? 絹川さん 関わってなかったです。走りもしないし、テレビで陸上の情報も追わない。靴ももう使わないだろうと思ってほとんど捨ててしまって、世界大会に出たときのユニフォームぐらいしか残っていないぐらい、全部断ちましたね。 ――ぽっかり空いた穴は何で埋めたんですか? 絹川さん それこそコスプレとの出会いですかね。高校生とか大学時代に何もできなかったから、やりたいことしよう!と思ったんです。 ――元世界陸上選手でコスプレイヤーであることを公表されたのはなぜでしょうか? 絹川さん この数年間ぐらいで広まった多様性ですかね。コスプレも10年、20年前はオタクのちょっとディープな趣味みたいなところがあったと思うんです。それが、世界最大級のコスプレイベント「世界コスプレサミット」が開催されたり、池袋のハロウィンイベントでコスプレした人たちが街中をパレードしていたり、かなり明るいものになってきていますよね。そういう世の中になってきたから自分の半生である陸上とコスプレを合わせれば、新しいことがやれるんじゃないかなって思ったのが一番の理由です。 ――再始動というのは現役の選手としてでしょうか? 絹川さん 陸上の現役復帰もしたいですが、最近スポーツとコスプレを繋げられるのって「私しかいないのでは?」と思ったんです。なので自分発信でいろいろできないかなという気持ちになっているんです。例えばコアな人からライトな人まで含めたコスプレでしか走れないマラソンイベントを開いてみるとか。それは日本の規模でもいいし、世界的にもコスプレってすごく人気なので世界規模で、何千人が走るとかもすごく面白いと思うんです。 ――それは楽しそうですね。 絹川さん でも、1人の力じゃ何もできないので、楽しいことをやりたい企業さんや団体さんと一緒にできたらなっていう気持ちなんです。 ――30歳を超えてからの挑戦も遅くないですね。 絹川さん 全然遅くないと思っています。むしろ30年間で培ってきたものがありますよね。人もだし、考え方もだし経験もだけど、若い人たちには負けないぞぐらいには思っていますよ。 ――陸上競技を通じて有名になったと思うんですが、有名になったことに対して得したな、損したなと思うことはありますか? 絹川さん まだまだ全然有名にはなってないですよ! ただ、有名なると自分の意見が通りやすくなると思うんです。自分にしかできないイベントをやりたいと思ったときに、有名な方が、話を通しやすかったり。陸上をもう一回頑張って、絹川愛としてある程度実績を出したら、若い世代もきっと私のことを知ってくれる。そうして応援してくれる人が増えたら私のやりたいことの実現性が高まるんじゃないかなと思っています。 【後編】元世界陸上“美しき代表”絹川愛がコスプレイヤーになっていた「長距離は自分との対話、変身願望が」は下の関連記事からご覧ください。
ひがけん