ポンドにようやく光明、不透明な米国やドイツ政治動向の安全逃避先に
(ブルームバーグ): 投資家がポンドの回復に賭けている。わずか10日前には、英大型予算案の発表でポンドが一段と売られていたことを考えると、突然の方向転換だ。
JPモルガン・プライベート・バンクからクレディ・アグリコルに至るまで多くの銀行がポンドのさらなる上昇を見込んでいる。イングランド銀行(英中央銀行)のタカ派的なトーンと、米国やドイツの政治動向を受けて、ポンドが意外な安全逃避先となっている。週間ベースのポンドは対ドルで過去6年で最長の連続安から抜け出す見通しで、対ユーロでは年初来で最も値上がりする勢いだ。
政治的な混乱によってドイツでは国債増発の懸念が強まっている一方で、サービス業の比重が大きい英国経済は、米大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏が打ち出す関税措置が実際に導入されても打撃を受けにくいとの見方がある。
JPモルガン・プライベート・バンクのグローバル外為戦略責任者、サム・ジーフ氏は 「米大統領選と英予算案の後で、英国は『さえない配当』の恩恵を受けている」と述べた。
イングランド銀行(英中央銀行)は7日に0.25ポイント利下げしたが、追加利下げへの示唆を控えた。これを受けポンドは8月以来の低水準から反発し、約1%高を付けた。
英中銀の発表後、トレーダーは12月の0.25ポイント追加利下げの確率を16%まで後退させた。6日時点では約25%と織り込まれていた。
ダンスケ銀行の為替ストラテジスト、カースティン・コンビューニールセン氏は「英ポンドに対する政治的なリスクプレミアムは再び後退した。特に英中銀が漸進的な利下げアプローチを示したことが響いた」と述べた。
原題:Pound Emerges as a Haven from Trump Tumult After Years of UK Woe
(抜粋)
--取材協力:Vassilis Karamanis.
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Alice Atkins, Naomi Tajitsu