「債務超過」が10年連続の企業は6.7% 債務超過の回数が多いほど生産性が低下
平均売上高 債務超過回数が多いほど売上高は低い
2023年度の債務超過回数別の平均売上高は、「(債務超過)なし」が18億8,100万円で最も高く、2番目に高い「1-3回」4億8,800万円の3.8倍と突出した。このほか、「4-6回」が3億7,100万円、「7-9回」が2億1,700万円、「10回」が1億3,100万円と続き、債務超過回数が多いほど平均売上高が低いことが鮮明に表れた。 2014年度から2023年度の10年間の平均売上高の推移は、「なし」が16.1%増、「1-3回」が3.6%増と伸長した。一方で、「4-6回」は0.5%減、「7-9回」は4.4%減、「10回」は8.3%減と、債務超過の回数が多いほど売上は縮小している。 また、2023年度の従業員1人当たりの売上高は、「なし」が4,900万円とトップだった。以下、「1-3回」が3,400万円、「4-6回」が3,100万円と続き、債務超過の回数が多いほど1人当たりの売上高が低い傾向がある。 ◇ ◇ ◇ 2024年度上半期の企業倒産は5,095件(前年同期比17.8%増)で、年度上半期では10年ぶりに5,000件を超えた。こうしたなか、今回の財務分析では、10年間、一度も債務超過に陥ったことがない企業が7割を超えた一方、債務超過から脱却できない企業が6.7%(1万170社)あることがわかった。 債務超過が常態化した企業は生産性向上が難しく、単純再生産の状態が続いている。「金利のある世界」に戻ったことで事業継続リスクが高まっており、ビジネスモデルの転換が急がれる。 こうした企業は財務基盤がぜい弱なだけに、将来への投資も難しく自力での立て直しがままならない企業が多い。コロナ禍を経て、中小企業対策が資金支援から再生支援に転換するなか、政府や自治体、金融機関を中心に、廃業支援を含めた私的整理や事業再生への取り組みが早急な課題に浮上している。