杏が語る、フランスの暮らし「東京もパリも、同じくらい居心地がいい」
子どもを守る・優先することが根付いている
フランスで生活するうえで、日本との社会的な違いなど気づきが多いという杏さん。なかでも特に子育てに関して思うことが多かったそう。 「子どもたちと初めてフランスを訪れたのは、まだ子どもたちがベビーカーに乗っていた時期で、2人乗りベビーカー1台と1人乗りベビーカー1台だったり、2人乗りベビーカー1台に1人は抱っこひもという状態での滞在でした。 駅にエスカレーターがほとんどないため階段を下りてメトロ(地下鉄)に乗るのですが、どこからともなく人が駆け寄ってきてベビーカーを運ぶのを手伝ってくれるのには驚きました。混んでいても『ほら、先にこっち来なさい』と通してくれるなど、どこへ行っても過ごしやすくて。子どもを守る・優先するのが特別なことではなく、根底から根付いているのだなという印象を持ちました。 また、電車が混んでくると座っている人が立ち上がって、畳めるタイプの椅子をパタパタと畳み始めるのにもビックリ。大人も子どもも関係なく、皆がナチュラルに、よりたくさんの人が電車に乗れるよう配慮しているのです。 でもそれは、長く乗らない前提があるからという気もします。メトロは駅数が多く、ずっと座っている人があまりいないのです。長距離通勤で利用されるような電車とは、そもそもが違うのかもしれません」
東京もパリも、同じくらい居心地がいい
「その国や街と水が合う合わないは、人それぞれあると思います。東京もそうですけれど、パリは人と人との間に適度な距離感があってそっとしておいてくれる。東京もパリも、同じくらい居心地がいいです。 私は体が大きくてなんとなく迫力があるせいでしょうか(笑)、今のところ危ない目に遭ったことはありません。治安については国に関係なく、危険な場所には行かないことに尽きると思います。東京でもパリでも、昼は大丈夫だけど夜は危ないというエリアはあるので。 デモなどは事前に日程と場所がニュースで告知されるため、そこへ行かなければ巻き込まれることはありません。テロの可能性もゼロではないですが、皆なんとなく本能的に避けている気がします。 街を歩いていて、ふと空気が変わって『あれっ? 』と思う瞬間ってありますよね。そういう時は歩かずにタクシーに乗るとか、バッグをしっかり抱えるとか、すれ違う人と目を合わせないとか。日常生活を送るうえで危機管理が大切なのは、どこで暮らしても同じかなと思います」