秋田のスーパーでクマ居座り長期化 増えている個体と被害、冬でも市街地で人襲う
秋田市のスーパーマーケット「いとく土崎みなと店」にクマが侵入、そのまま居座りを続け、2024年12月1日で2日目となった。男性従業員がクマに襲われてケガをし、店内で販売されていた肉類が食い荒らされていたとの報道も出ている。 近年は北海道のヒグマ、本州のツキノワグマともに、出没件数は増加傾向。寒い季節はクマの冬眠時期と重なるはずだが、昨23年度は冬期のクマの出没情報が3ケタに達した。 ■「人身被害」秋田、岩手だけで全国の半数超 秋田市のクマ居座りは、ABS秋田放送がYouTubeでスーパーの様子をライブ中継し、状況を伝えている。1日17時以降はABSの秋田港情報カメラに切り替わって映しているが、その後も大きな進展はない。 スーパーの立地を調べると、周りには人家が比較的多く、ビジネスホテルも近くにある地域だ。また、どちらかと言えば海に近く、山間部からは結構離れている。 秋田県内では11月27日にも、横手市でクマ1頭が介護施設の倉庫に侵入。箱わなを仕掛けて捕獲したという。クマの目撃情報は、全国で寄せられている。特に富山県朝日町では11月中旬以降、相次いでいる。ほかにもこの5日間だけで、新潟県阿賀野町、東京都あきる野市、福島県須賀川市と白河市、滋賀県大津市、岩手県盛岡市とあちこちで出没している。 環境省が発表しているクマの人身被害件数をみると、23年度は全国で198件。被害者数219人で、そのうち6人が死亡している。都道府県別の人身被害件数では、秋田県が62件で最多。次いで岩手県の46件で、この2県だけで全体の半数を超える。 24年度は10月まで集計が発表されており、人身被害件数は72件。冬の時期はクマが冬眠に入るため、今のペースなら件数は23年度を超えない可能性が高い。とはいえ、先述の通り11月は目撃情報が相次いでおり、安心はできない。 ここ15年ほどで、全国の多くの地域でクマの出没は大幅に増えている。環境省が2月8日付で発表した資料によると、クマが生息する北海道、本州、四国で、地域を5キロごとに網の目(メッシュ)に区分したクマの分布の増減割合は、03年と18年を比べて、北海道、東北、関東、中部はそれぞれ3割前後増、近畿は7割程度増となった。中国は2.7倍増えており、減っていたのは四国だけだった。
冬眠の時期は出没情報減、それでも1月に190件
クマは11月下旬から12月に冬眠に入り、3~5月まで続く。そのため、冬期はクマの目撃情報は減る。しかし近年は、真冬でも一定数の出没が確認されている。 環境省の資料をみると、24年1~3月のクマ出没情報は、全国でそれぞれ190件、127件、152件となっている。前年同月比で、それぞれ大幅に上回っている。一方で、20~23年も各月で2ケタには達しており、冬眠の時期でも活動しているクマがいることは間違いない。 23年度の人身被害件数で、12月は3件と、11月の28件から大きく減っていた。しかし、冬眠直前のクマが食料を求めて人里にやってくる可能性はある。寒い時期ではあるが、要警戒と言えよう。