新型アストンマーティン・ヴァンキッシュは、フェラーリやランボルギーニと大きく異なる! 新世代のV12スーパーカーに迫る
フルモデルチェンジを受けた新型アストンマーティン「ヴァンキッシュ」に、大谷達也がイタリアで乗った! 今や希少な12気筒のスーパーモデルに迫る。 【写真を見る】新型ヴァンキッシュの全貌(57枚)
V12という超贅沢
新型アストンマーティン・ヴァンキッシュは、“超高級車の証”ともいうべき12気筒エンジンを搭載した高性能なグランドツアラーだ。 ごく一般的なファミリーカーに積まれているエンジンは3気筒か4気筒。気筒=シリンダーはエンジンの基本単位のようなもので、この数が多くなればなるほどエンジンの回転は滑らかになるほか、高出力が生み出しやすくなる。 滑らかな回転が求められる超高級リムジンにも、高出力が求められるスポーツカーにも12気筒エンジンが用いられるのはこのためだが、近年は排ガス規制が厳しくなった影響で、排気量が大きくなりがちな12気筒エンジンの生産を諦める自動車メーカーが続出。12気筒モデルをカタログに掲載するメジャーどころの自動車ブランドは、いまやロールス・ロイス、フェラーリ、ランボルギーニくらいしか残っていない。 いや、もう1ブランドだけ、この贅沢なエンジンを作り続けている自動車メーカーがある。それがアストンマーティンだ。 1913年に誕生したアストンマーティンは創業当時からモータースポーツに積極的に参戦。ル・マン24時間などの国際的な自動車レースで数々の栄冠を勝ち取ってきた。 もうひとつ、アストンマーティンを語るうえで忘れられないのが、映画『007』シリーズにおけるボンドカーとしての活躍だ。そのきっかけを作ったのが、ショーン・コネリー主演の『007 ゴールドフィンガー』や『007 サンダーボール作戦』に登場した「DB5」(1963年デビュー)で、映画が公開されるやいなや、それまでは一部の愛好家の間でのみ知られていたアストンマーティンの名を広く世界中に知らしめることとなった。 そんなアストンマーティンの規模を劇的に拡大したのが2014年にCEOに就任したアンディ・パーマーで、彼は新型車を1年に1度のペースでリリースする「セカンド・センチュリー・プラン」を提唱。この戦略はパーマーの失脚により志半ばで頓挫したが、現在の年間7000台に迫るレベルまで生産台数を引き上げたのは、パーマーの功績だったといって間違いない。 一方、彼らが初めてV12エンジン(V型12気筒エンジンの意味)を手がけたのは1999年。当時、アメリカの自動車メーカーであるフォードの傘下にあったアストンマーティンは、同社の技術協力を得て初のV12モデル「DB7 ヴァンテージ」を世に送り出した。 それから四半世紀を経て、アストンマーティンはまったく新しいV12エンジンを開発。最新のヴァンキッシュに搭載されてデビューを果たしたのだ。前述の通り、排ガス規制の強化によりV12エンジンの存続が危ぶまれている現代に、敢えて巨額の開発費を投じて新たなV12エンジンを生み出したことは英断というほかないだろう。