【インタビュー】平野ルナ選手~反対されても決めたST600参戦。その道は世界の舞台につながっていた~
平野選手をバイクにつなぎとめたのは、友人たちの存在でした。「やめたら友達に会えなくなる」、そう思うと心が揺らぎ、ポケバイを続けることにしたのです。 その後、ミニバイクレースとCBR250Rドリームカップを経て、平野選手は17歳で筑波ロードレース選手権ST600クラスへの参戦を始めます。このST600参戦が、平野選手にとってひとつのターニングポイントでした。現在、日本人の女性レーシングライダーとして大型マシンを走らせる稀有な存在となった原点が、ここにありました。 「当時、全日本選手権に出るためのライセンスを取るには、J-GP3かST600、JSB1000しかなかったんです。すでにけっこう身長があったし、そうなると250(J-GP3)は除外されて、身長があるから600にチャレンジすることにしました」 「周りからはすごく反対されました。『女の子が(600ccのクラスは)危ない』ということだったようです」 けれどその後、平野選手は地方選手権を経て全日本ロードレース選手権ST600にフル参戦し、2019年には市販車ベースの1000ccマシンで争われる鈴鹿8耐にまで、参戦を果たすのです。17歳のときに600ccのマシンを走らせることを決断した平野選手は、「大きい排気量のほうが自分には合っていたと思う」と言います。 また、環境の違いも平野選手にとって刺激になりました。 「250ccのマシンで走るレースに出ていたときは、セッティングなども全部メカさん任せでした。600も最初はそうでしたけど、勉強しないと乗るのが難しいバイクだったので、いろいろメカさんに聞いて学びながらレースをしていました。だから、600はすごく楽しかったですね」 そうした経験を経て、2024年シーズン、平野選手はWCRという世界選手権への挑戦をスタートさせたのです。
WCRへの参戦を決めた理由
平野選手が、WCRに参戦を決めた理由は何だったのでしょうか。