米ピムコ、米長期国債の配分を減らして投資を多様化
Davide Barbuscia [ニューヨーク 9日 ロイター] - 米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)は9日、米国以外の国債を購入することで、国債エクスポージャーを多様化する計画を発表した。財政状況の悪化により、米長期国債の見通しが弱気になっていることが背景にある。 ピムコは債券に特化した資産運用会社で、運用資産額は2兆ドル規模。米国債では短期債および中期債を選好する一方、インフレ上昇の可能性や財政赤字を埋めるための追加的な国債発行が見込まれるのを受けて、長期債への配分を減らしていると説明。また、財政状況が良好なのを踏まえて英国とオーストラリアの国債にも投資していると明らかにした。 非伝統的戦略担当の最高情報責任者(CIO)マーク・サイドナー氏とポートフォリオマネジャーのプラモール・ダワン氏は顧客向けのメモで「米国債の持続可能性への疑問や、関税や労働力への移民規制の影響などのインフレの契機について考慮し、長期国債の購入をためらうようになった」と言及している。 11月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利した際、減税の推進が政府の財政赤字を悪化させると予想した投資家が米国債を売り浴びせたため、国債利回りは上昇した。保護主義的な貿易政策によるインフレの再燃も米国債の利回りを押し上げるとみられていた。 しかし、トランプ氏が著名投資家のスコット・ベッセント氏を財務長官に指名したことで過剰な支出や輸入品への高関税に対する市場の懸念が和らぎ、利回りは低下した。 それでもピムコはこの状況が予期しなかった形で変わる可能性があるとして「過剰財政という話は、(国債を売却することで放漫財政を戒める投資家の)債券自警団がいつ浮上するかという疑問を定期的に生む」と警告した。