第2の住民票!?「ふるさと住民登録制度」とは…石破政権の看板「地方創生2.0」で注目集まる 2025年に議論本格化へ
単純な登録制度では限界も
ただ、登録者のうちどのくらいの人が実際に町を訪れ、地域の活動に参加したかなどは十分に把握できていないという。 日野町企画政策課の長尾涼さんは、「毎月イベント情報を送るにも郵送料などそれなりのコストがかかるが、見合った効果がなかなか見えてこない。本当に町に対する熱量の大きい人をどのようにピックアップするのかが課題」と話す。 実際に利用を始めたものの、これまでに3つの自治体がふるさと住民票の取り組みをやめていて、中には「ふるさと住民カードの使用機会がない」と指摘されたケースもあり、全国的な広がりには至っていない。
制度化にはハードルも
では、国が主導し、公的な「第2の住民票」や住民税の分割納税を含め、早急に制度化できるかと言えば、そのハードルは高い。 11日の衆議院予算委員会でふるさと住民登録制度の導入について問われた石破首相は「解決しなければならない問題はたくさんあるが、有効性を政府の中でよく検討したい」と述べた。 現行制度で住民票を2地域で作成することや、住所地とは別に居住地域などを認めることは選挙権・被選挙権を二重に与えるようなことで適当でないとの最高裁判例があり、二重課税も懸念されるためだ。 「ふるさと住民登録制度」を提言する高橋氏もこうした現状は認識している一方で、「この国のあり方を大きく変えるところまで踏み込まないと、もう地方は成長できない。このままいくと消滅すると思う」と警鐘を鳴らす。 また、国民の側にとっても、ふるさと住民登録を行うことのメリットが明確でないと、広がりは見込めない。ふるさと納税制度は、自治体間の税の移転により財源に穴が開く自治体が出る問題を抱えているものの、利用者へのメリットが明確なため爆発的に普及した。ふるさと住民登録は、ふるさと納税とは一線を画す考え方だが、利用者にメリットを感じさせる仕組みは求められるかもしれない。
「関係人口の拡大」明記の先に、来夏の「基本構想」
政府が24日に決定した地方創生2.0の「基本的な考え方」では都市と地方の両方に生活拠点を持つ「二地域居住」の推進や「関係人口の拡大」という文言が盛り込まれた。 次の焦点は、抜本的な対策としての「ふるさと住民登録制度」が、2025年夏にまとめる今後10年間の基本構想に盛り込まれるかどうかになる。地方活性化が待ったなしの中で、ふるさと住民登録制度が抱える課題をクリアして実現させることは可能なのかどうか、今後の議論と石破首相のリーダーシップが注目される。 フジテレビ政治部 安部大地(さんいん中央テレビ)
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