玉屋2060%(Wienners)×三原健司(フレデリック) 対バンライブ直前インタビュー「実はすごい昔に1回だけ対バンしてるんです」
――その当時から比べると、玉屋さんはだいぶ変わりましたよね。 玉屋 めっちゃ変わりましたよ。フレンドリーになったと思います。 三原 前に武道館で『ONAKAMA』っていう、04 Limited Sazabys、THE ORAL CIGARETTES、BLUE ENCOUNTのイベントがあったときに思いました。玉屋さん、楽屋挨拶に来てたじゃないですか。 玉屋 ああ、行きましたよ。 三原 そんなんする人なんやって(笑)。パッと観てサッと帰るみたいなイメージだったんで。 玉屋 本当はそれに憧れてるんですよ。かっこいいじゃないですか、スッといなくなるみたいな。でもせっかく行ったんだから、誰かと「来たよ」みたいなことをしないともったいなくて帰れない(笑)。でも昔は、ライブに行くことすらしなかったと思います。盛り上がってるのが悔しいから観れなかった。でも今は素直に「ここがすごいな」っていうのを思えるから。 三原 ふと思い出したんですけど、2014年くらいにTHE ORAL CIGARETTESとツアー回ってたじゃないですか。4バンドくらいで。 玉屋 そう、2回くらいやったんですよね。オーラルが呼んでくれて。まったく接点はなかったんですけど。「THE ORAL CIGARETTESっていうバンドからツアーに誘ってもらってる」って聞いて、それだったらということで。そしたらめちゃくちゃいい人たちだったし、現場でやっている感じもあるし、すごいなって。 三原 実は、今までWiennersと一緒にやる機会がなかったのはそれもあるんですよ。うち、オーラルと事務所が一緒で、同じ時期に入ってるんです。やっぱりそういうバンドとは追いつけ追い越せみたいなことになるじゃないですか。だからお互いライバル視していたというか、同じ動きはしたくないっていうのがあって。でもお互いの動きはチェックして分かってるんで、「Wienners取られた!」って。オーラルがいろいろなことをやってる中で、そこが一番悔しかった(笑)。 玉屋 はははは(笑)! でもその、ライバルをずっとチェックしちゃう感じも分かります。で、絶対に同じ感じにはしたくないっていうのも。 ――フレデリックは今度ついにオーラルとツーマンをやるんですよ。 三原 そうなんですよ。 玉屋 うわ、今の話を聞くと感慨深い。どういう経緯でやることになったんですか? 三原 まあ、今言ったように、がっつり喧嘩したとかはないんですけど、なんとなくお互いに意識してちょっと避けてるみたいなのがずっと続いてたんです。事務所のイベントとかで一緒にやることはあったんですけど、そういうイベントって自分たちの現在地がリアルに出ちゃうから「悔しい」しかなくて。だからツーマンはずっと避けてたんですけど、今、デビュー10周年のタイミングになって、お互い目指してる方向性とかも全然違うし、そもそもの自分たちがどう生きていきたいかみたいなフェーズに入っていってるわけで、そこで「今のオーラル見てみたいな」って素直に思った瞬間があったんで。それでツーマンやりたいなと思ったんです。 ――10年っていう時間もあるだろうし、歳を重ねたってのもあるだろうし、自分たちのやるべきこととかスタイルみたいなのがちゃんと見えたっていうのもあるでしょうけど、若いときにあった界隈感とか派閥みたいなものがどんどんなくなってきている感じがしていて。それはWiennersもそうだと思うんですよ。 玉屋 うん、そうですね。唯一そこでグダグダ言ってるのは忘れらんねえよの柴田(隆浩)だけ(笑)。もう、ずーっと言ってる。そうやって怒れるバイタリティはすごいと思うんですよね。 三原 でもそういう感覚が一番大事な気もするんですよね。10周年ぐらいがなんかちょうど難しい立ち位置だと思うんですよ。「あのバンドは大丈夫でしょう」になったときが一番ヤバいと思う。フェスでも「あのバンドはたぶん埋まってるやろうから行かなくていいかな」ってみんなが思ってる感じになってしまうと。やっぱり興味はずっと引き続けたいなって。 玉屋 ああ。それでいうと僕らは最近まではライブを必死にやりすぎていたところがあって。でも結局楽しまないとなって思うようになったんです。それでこういう社交性が出てきたっていうのもある。もともと音楽が好きで、音楽で感動したくてやっていたのに、なんか気づいたらライブやって必死になって、終わってみても別に感動してないな、みたいな感じで。コロナがあったのが良くも悪くもきっかけになったんですよ。それまでライブで盛り上げなきゃいけないみたいな感じで思ってたけど、コロナになって盛り上げなくていいってなったら、めちゃくちゃ気持ちよかったんです。 三原 ああ。 玉屋 無駄な動きみたいなものをなくなって音楽に集中できるようになったので、これは楽しいぞ、みたいな。そこからなんかちょっとずつ楽しめるようになってきた。今ではなんでもありみたいな感じになって、ギターを弾かない曲ができたりするようになりましたからね。