「67歳から人生初の一人暮らし」女性イラストレーターの率直な不安と期待「お楽しみはこれから」
「夫を亡くしたあと、写真や動画を整理するのがつらい時期もありました。亡くなった義母に似た老婦人を街で見かけて、涙が出てきたこともあります。でも、過去を振り返るより、これからできることはいくらでもある!と思ったらワクワクしてきてね」
ズボラになりすぎないよう生活のメリハリは大事に
アクティブな本田さんは移住してから、ボードに乗ってパドルで漕ぐ水上スポーツ「SUP」やボディボード、ビーチヨガなどに挑戦してきた。畑を借りて家庭菜園もやっていたが、そんなスケジュールのやりくりも自由に。 「今は畑が遠くなってお休みしていますが、家庭菜園はいいですよね。先輩方が何でも教えてくださるし、最近はお高い野菜も、食べきれないほど採れて、『ぜいたくだなあ』と思います」 時間の制約がない分、今はゆるやかな時間割をつくって暮らす。朝ごはんの後は30分以上散歩へ。昼はイラストレーターとしての仕事をこなし、5時を過ぎたらひとり呑みタイムが解禁だ。 「晩酌しながら『ああいい一日だった』と日々過ごせるのが幸せ。ブログがうまくアップできなかったり、部屋で転んだり、ちょっとした事件は日々あるけど、うまくいったらガッツポーズをして常にポジティブに暮らしています(笑)」 ひとりだからといいかげんにならないよう、朝食を作ってはインスタグラムにアップするのも習慣に。 「人に見せるとなると、彩りや盛り付けを考えますからね。娘や息子への生存確認にもなっているかな。自由になったからこそ、ズボラになりすぎないよう生活のメリハリは大事にしています」 そんな楽しみも健康であってこそ。自治体が主催する体操教室にも通い、散歩以外にもよく歩くように心がけている。そのためにも食品は買いだめはせず、まめに買いに出るようにしている。 「ひとりになると、当然不安もあります。でも落ち込んだら、無心になってチクチク縫い物をしたり、ワインを飲んでとにかく寝る!とかね。結論が出ない問題で思い悩むと疲れちゃうから。時間にまかせて、リセットしています」 決して「ひとり暮らし=さみしい」だけではない。人生のお楽しみはまだまだこれから。本田さんの発信には、そんな気持ちになれるヒントがいっぱいだ。 本田流 元気に人生を楽しむヒント ・朝食をインスタグラムでシェア ・一日1回は、おしゃれして外出 ・凹んだら、よく寝てリセット! 取材・文/志賀桂子 1955年、長野県生まれ。イラストレーター。ブログやインスタグラムで、イラストや日々の暮らしを発信中。著書に『おしゃれと暮らしのレシピ』のほか、最新刊に『ワクワクする!67歳からのはじめての一人暮らし』(幻冬舎)がある。