「絶対に2m超の選手には負けたくなかった」西田有志が明かす“エースの心得”…ギャップをどう埋めた?「自分の理想像は自分で作り上げたい」
2m超の選手には負けたくなかった
福澤 これを聞いた皆さんは、西田の新しい面が知れたのではないでしょうか。点取り屋のイメージだと思いますが、私が試合を見るなかで、西田のレシーブに「すごい!」と思う瞬間が増えています。ディフェンスに対するこだわりがここまであるからなんですね。確かに、オポジットには2mを超える選手が多い。西田自身が言いましたが、その「ギャップ」をどう埋めてきたんですか。 西田 身長が小さいからオポジットは無理という概念は今でもぬぐい切れない。自分も2mあって今のプレーができたら絶対いいと思うけど、そんな無いものねだりにこだわっていても、得るものは何もないし、損をするのは自分。それなら今のプレースタイルで真っ向勝負して海外選手に負けないような努力、工夫をしようと思ってきました。 18歳のころ、福澤さんと一緒にプレーをさせていただいていた時は、無茶苦茶打ってブロックアウトを取るというプレースタイルでした。それがうまくいった時もいかない時もあったので、常にうまくいくように、ブロックに対してこういう意識で行こう、逆に自分が対面したときにこのコースで打たれたら嫌じゃないかと客観視するようにしました。海外選手と対峙したときには、そういったところからスタートしました。絶対に2m超えの選手には負けたくなかった。自分はどう対策をとって、どう点数を取るのか、今も考えています。自分なりの正解を導くことが自信につながるんです。
自分の理想像は自分で作り上げたい
福澤 世界のオポジットで西田選手が刺激を受ける選手はいますか。 西田 今現状では、理想というかああいうプレイヤーだったら楽だろうなと思うのは、アンダーソン選手(米)ですね。アメリカ代表の試合は、常に4枚(攻撃に)入るシチュエーションが多い。アメリカはそのシステムにはめている。パリ五輪で見たのは、S4かS3のとき、アンダーソン選手はパスをしてそのままパイプに入ってデファルコ選手が下から打つ。何て言ったらいいか……、ロマンがある。ひとつのオプションとしてそれが使えるわけです。 アメリカには、相手のブロックに対して7~8のシステムがあるんです。このシチュエーションのときはこっちに走ろう、このときはステイしようというようなのが。ブルテオンにいるジェスキー(米)もそのほうがシンプルでやりやすいと言っています。そういったところも取り入れたいですね。アンダーソン選手は、ディフェンスにも献身的ですし。でも、僕はアンダーソン選手にはなれないので、自分の理想像は自分で作り上げたいと思っています。 福澤 まったく同じことをパリ五輪を見ていて感じていました。オポジットの役割が今後変化していくんだろうなと感じさせるのが、アメリカのバレースタイル。サーブがどんどん強くなっていくなかで、パスができるオポジットがいるのはすごく強みになる。そこからオプションでポジションが変化していける。バレーボールがどんどん高度化するなかで、ポジションレス――ポジションがなくなっていくバレースタイルになるんだろうなと思う。点取り屋だと思っていたオポジットが、サーブレシーブに入るのもそう。西田選手の身長だからこそできるプレーもあるだろうし、新しいトレンドを作っていってほしい。 西田 はい。
【関連記事】
- 【あわせて読みたい】バレー男子日本代表・西田有志が明かす“オリンピックへの思い”…中3の卒業式で宣言! 涙した東京五輪で味わった「やり切った感と甘さ」
- 【貴重写真】「ブラン監督の前で子供のように泣く西田」「涙が止まらない高橋藍」「静かに目を潤ませる宮浦」パリ五輪、テレビでは映らなかった“最強男子バレーの集大成”を見る(100枚超)
- 【秘話】“ヤンチャ坊主”西田有志を育てた肝っ玉母ちゃんとマジメな父「タバコ吸いたいなら吸え」悪さしてもバレーボールだけは一生懸命だった
- 【バレーボールナイト「高橋藍」編」「藍にとって石川祐希とはどんな存在?」の問いに、高橋藍は何と答えた? 同郷の先輩・福澤達哉に明かした“激動の1年”と“日本代表への思い”
- 【バレーボールナイト「宮浦健人」編】「これからはもう無敵?」男子バレーの“必殺仕事人”宮浦健人が福澤達哉に語った「100%の準備」…意識を変えた“福澤さんのひと言”とは?